私たちの研究グループが取り組む研究課題のひとつとして、地球史の中で幾度か起きた大量絶滅時代の研究があります。
中でも、近年注目しているのが、今から約2億5千万年前の古生代末に起きたペルム紀末の大量絶滅事変です。この事件では、生物の9割が死滅したとも言われ、文字通り史上最大の大量絶滅です。
この史上最大の大量絶滅事件は、どのようにして起こったのでしょうか?その謎を解く鍵、この時代の海洋の記録を残した地層が日本に残されています。
日本に残る深海地層は、当時の外洋の環境記録を知る手がかりとして重要なのですが、これまでなかなか連続的に保存された地層得られず、不明な点が多くありました。
2011年、10月8日から12日の5日間、私たちは、岩手県北部にみられるこの大量絶滅時の深海底で堆積した地層を調査し、堆積物試料を採取してきました。
参加したのは、多田教授、山本さん、高橋、池田さん、尾崎さんの5名です。
今回の調査の目的は、後期ペルム紀から前期三畳紀にかけての堆積物を完全連続で採取することです。エンジンカッターを使った連続サンプル採取は、今回調査に加わってくださった山本さんがエキスパートです。
今回は、露頭斜面が急なので、露頭に土台を築き、サンプル採取の足場を作りました。
土台を作ったら、エンジンカッターで露頭を切断します。切れ込みを入れた部分を地層が連続するように採取していきます。
切断面を作ることによって、露頭を眺めるだけでは分からない細かな堆積構造が見えてきました。これが、大量絶滅期前後の記録なのです。(写真は大量絶滅後の時代に相当)
今回は、全体で3mの厚さに相当するサンプルを得ることができました。
この堆積物が示す太古の記録を読み解くため、これからサンプルの分析が始まります。
結果が非常に楽しみです。
また、野外調査・試料採取の活動は来年以降も継続予定です。
(高橋)
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