調査2日目。いよいよ本格調査の始まりである。二日目は、Jinshajiang(金沙江)へのYalongjiang(雅[リュウ]江)合流の影響を見る為、合流点から数km下流の揚子江本流と合流点から数百m上流のYalongjiangで採水を行い、3日目の朝には合流点から数km上流のJinshajiangでの採水を行った。これだけ書くと、河に下りて水を取るだけの仕事で、簡単で楽な作業だと思われるかもしれないが、そうは問屋が卸さない。河へ下りる道を探すのが至難の技なのである。
先ず、道から河辺までの間は私有地である事が多いため、道沿いに柵や塀が張り巡らされている事が多く、地図を見ても河に下りる道はほとんど見当たらない。また、揚子江沿いの道は、通常、河面より30m以上高い所を走っており、道から河までの斜面は、草木が生い茂っている。従って、柵が無い所を見つけても、道や階段が無い限り、斜面を登り下りする事は不可能である。
揚子江調査ではNikkiがナビ役なのだが、彼女は、携帯で衛星地図(Google map)を見ながら、採水を希望する地点付近を拡大し、河辺に船が停泊している所を探す。Google mapでは、長さ10m程度の船まで十分に識別できる。揚子江沿いには、しばしば船が繋留されている場所がある。そうした船の多くは、船上レストランか小規模な水文観測船であり、そこへ下りる道や階段が存在する。それを探し出すのである。こうして河辺へ下りる道(多くの場合は階段)を見つけるが、そこに船が停泊していると、Zheng教授の出番である。言葉巧みに(と言っても中国語で話しているので、何を話しているかは分からないのだが、交渉上手である事はわかる)船べりから採水させてもらえるように交渉するのである。(つづく)
(多田)
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