2018年3月30日金曜日

週刊葛生 第八十九号 Kapiti島編

 みなさんこんばんは。博士2年のMです。

 昨日今日と専攻と講座の納会がありました。私の研究室では一気に学生が少なくなります。


 なんだか、同じ研究室にいると言っても行動を共にした時間は意外と少なかったりするので、去り行く人には名残惜しい気持ちですね。


 さて、


 今日はウェリントンの北の海岸沖にある、Kapiti島という島の話です。この島は、完全に外来種の移入を根絶しようとしている保護区になっており、環境保護の機関に粘り強く交渉した(私ではないが)結果、立ち入りが許可された場所です。

Google mapより。

 しかも、本来行くはずの日程は嵐で不可能となり、日を変えて日帰りに短縮して臨むこととなりました。
当日の朝は願いが届き晴れに。


 当日はそれまでの雲が晴れ、ここ一番の晴れとなりました。



ウェリントンの町に日が当たり始める頃に出発です。

 Kapiti島へ渡る前に、Department of Conservation (DOC)で外来種(特に種や虫)がついていないか荷物を全部ひっくり返して検査されます。だからだいぶ朝早く宿を出ます。

私の鞄はチェックする場所が多く、大変でした。

 島へは船で渡りますが、本土側は遠浅で港がないのでこんなものを使います。
トラクターアンドボートです!

 トラクターで海に突っ込んで行き、船が浮いたところでエンジンをかけるんです。

きれいな海で、時々イルカやシャチがいるそうです。

 Kapiti島は北部に宿泊施設があるのですが、我々は調査のために南端部の、ほぼ誰も人が入ったことの無いところへ行きました。

道などないので頑張って崖を歩きます。

 現地の人もなかなか入れないところということで、楽しそうでした。
案内の方々に説明をする共同研究者のCampbell博士。


 地層は、基本的にかなりぐちゃぐちゃの泥岩なのですが、
変形しています。

 ところどころにこんなものがあります。
黒いリン酸塩ノジュールです。

 これは堆積物中で形成された硬い塊でノジュールと言われ、この場合はリン酸塩鉱物が堆積物の粒子の間に形成されてその部分が固まったことでできたとみられます。こういったノジュールは、地層が変形される前に硬くなるので、その部分に化石があると「保護」され、非常に保存状態のいい化石が見つかる場合があるので重要です。


 ノジュールをいくらか採取できたところで、引き上げとなりました。ただ、引き上げるのも一苦労です。

 上陸時もそうだったのですが、ここは港がないので船で浅瀬に乗り上げ、梯子を下ろして一気に乗り降りし、すぐに梯子を上げて船を離脱させるという方法をとります。この際、船が座礁したり、最悪底を傷つけたりする恐れがあり、特に波がやや荒くなった帰りはハラハラでした。

波が落ち着くのを見計らって船が突っ込んできます。海兵隊の作戦みたいです。


 最後に、同行したDOCの方の要望で、保護区での荷物運びを少し手伝うことになり、少しだけ寄り道できた別の陸地もとても奇麗でした。

美しい森です。

 保護区にわんさかいるらしいという稀少な鳥はほぼみられなかったのですが、たまたま一羽だけ間近でみることもできました。ですが、それはまたの機会に。


 それでは、ごきげんよう。さようなら。

2018年3月23日金曜日

週刊葛生 第八十八号 ウェリントン周辺編

 みなさんこんばんは。博士2年のMです。


 今回はウェリントンの周辺でみた地質の話です。周辺編、なんて言いづらいですね。


 実はニュージーランド、日本とは地質学的な共通点が多いんです。なので、日本でもみたことがあるような地層が良く見られます。

 まずこちら。


三畳紀のタービダイトです。

 砂岩と泥岩の互層、海溝に流れ込んだ陸起源の砂や泥だと言われています。やや古い時代のものですが、結構きれいに地層がみられます。
教科書に出てきそうなきれいな絵ですね。
 ちなみにこのスケール、テープになっていてノートに貼付けているのですが、指導教員の知り合いが作った代物で、なかなか便利です。


 砂岩や泥岩がいつもきれいな堆積構造を保持しているかというと、そうもいきません。


 この砂岩に挟まれた泥岩は、構造変形でぐちゃぐちゃです。なぜか。

黒い部分が泥岩です。
 付加体だからですね。日本と同じように、ニュージーランドも太平洋の海洋プレートが沈み込みながら、その上に有ったものを陸側に押し付けているところでできたからです。


 ということは当然、あれもある訳です。


上の白いのはチャート、下の灰色のは珪質粘土岩です。

 こちらの写真のチャートはかなりキテいますね。薄い灰色の粘土岩は、火山灰を含むのかもしれません。



 さらに、海洋プレートに属していた玄武岩もあります。


左の黒いぼこぼこしたのが海底でできた枕状玄武岩です。右の赤いのはチャートです。

 しかしまあ、崖というのは日本だろうがニュージーランドだろうがあまり見た目は変わりませんな。


この下に歩道があるって言うのはちょっと危険な感じでしたね。


 ニュージーランドでは断層でできた地形が日本よりも目立つ気がします。森が無いからでしょうか。


ニュージーランドは木はあまり生えていません。

 こちらの何の変哲も無い崖ですが、


 別の角度からみると、断層面に沿っていることがわかります。



よく見ると、発電機の少し右に、右下へ急に傾斜した断層面が見えます。


 つぎは、閉山した採石場です。
灰色部分は砂岩、黒い部分は泥岩です。やや変形しています。
 たくさん断層が見えますね。
中央に大きな断層があります。断層の周りでは地層が強く変形しています。
 これはかなりでかいです。こいつは付加体が作られた時にできたものかもしれません。


 一日フィールドで頑張ったら、
ビア!


素敵なステーキ!

 ですね。


 それでは、ごきげんよう。さようなら。

2018年3月15日木曜日

週刊葛生 第八十七号 ニュージーランド再び編

 みなさんこんばんは。博士2年のMです。


 ずいぶんと間が空いてしまいました。2月なんて一度も書いていません。


 忙しかったんでしょうね。


byドーラ from『天空の城ラピュタ』

 さて、つい3日前まで、ニュージーランドに調査に行っていました。昨年は北島のてっぺんの方だったのですが、今回はもっと南に行ったので、オークランドについてから飛行機を乗り継いで首都ウェリントンへ行きました。


 オークランド空港にはこんな方がいましたが、ウェリントンでは別のお方がお待ちでした。


"There is only one lord of the rings, and he does not share power!"


 Weta workshopが作ったそうです。


アップでみても結構リアルです。


 さあ、到着したら先ずはあたりの偵察です。


とりあえず偵察のために高いところにケーブルカーで上りました。

 ウェリントンはとても奥ゆきのある湾の岸にある港町なんです。


別の所から町の主要部を望む。

 ビルの高さの割に町が狭いでしょう?結構小さい町なんです。


自分では撮れない角度なので、誰かが撮ったのを撮ります。

 航空写真で見ると湾の形が良く分かりますね。最初の写真は湾が一番左に出っ張るあたりの小さい山の上から、二つ目の写真は町の中央の、上に向かって突き出た岬の付け根にある緑の山からとったものです。


 一つ目の写真を撮ったところからは、振り返ればもう郊外です。
なんだか長閑な感じです。

 緑の中に住んでいてうらやましいですね。


 到着した日はその後とりあえずニュージーランドで調査地を案内してくれる研究者のお宅を訪問して終わりました。


白ワインを頂きました。

 まあ今日はこんな所で。


 本当は調査中に夜ブログでも書けば生放送が3回くらいできたんですけどね。


 まあ、夜は忙しかったんで。
ニュージーランドに来たら。。。

 ね。


こっちもアリですね。



 それでは、ごきげんよう。さようなら。