2011年10月26日水曜日

雲南省長江上流域調査の旅 (その7)

揚子江上流域での採水を終え、Lijiang1日の余裕が出来た。それ迄の日程が強行軍だったので、「1日ゆっくり休みたい」と言うのが本音だった。Keitaはばて気味、頑強な筈のYoshiakiも、流石に始めての海外調査で気疲れしたのか、休みたい様子。しかし、Zheng教授はサービス精神旺盛で、Lijiangの北にある、世界遺産にもなっている玉龍雪山に雪を見に行こうとの事。ConnieNikkiは元気そのもの、行く気満々で、疲れたからゆっくりしたいなどとは言い出せない雰囲気だった。
休養日当日の朝、外は雨がしとしと降り、山は雲に隠れて見えない。雪を見に行くのは中止か、との淡い期待も、山の上は晴れているかもしれないから予定通り行こうとの一言で露と消え、早朝からの出発となった。麓までは車で行ったが、個人の車が入れるのはそこまでで、後は公園内を循環するバスとロープウェイを乗り継いで、標高4500mのロープウェイの終点まで行くとの事。標高3000m足らずの麓でも肌寒いので、展望台のある4640m地点は凍りつくほど寒かろうと、一人80元を払ってダウンコートを借りてくれた。Zheng教授や、Connie, Nikkiは完全に遠足気分で、ロープウェイの順番を待つ間に饅頭や焼きトウモロコシを買って勧めてくれる。ところが、実はYoshiakiと私は、連日のハードスケジュールと辛くて脂っこい四川料理(調査地域は雲南省なのだが、Zheng教授は、中華の中で四川料理が一番美味しいと言う信念を持っており、四川料理のレストランを選ぶ事が多い)の毎日で、お腹の調子がイマイチだったので、食べたかったが、焼きトウモロコシは遠慮した。
ロープウェイの終点に着くと、確かに雨は止んでいたが、雲に隠れて玉龍雪山は見えない。それでも一番上の展望台まで行こうと、若者達は元気いっぱいなのだが、どうした事かZheng教授の元気が無い。「私は、ロープウェイの終点あたりで写真を撮っているから、若者達は、展望台まで行って来なさい。」との事。恐らく、軽い高山病なのだろう。いつもは大丈夫でも、ちょっとした体調の変化で具合が悪くなる事もある。私は、トイレに行ったら、すっきりして絶好調となり、学生達と一番上の展望台を目指した。
ひたすら階段を登るのだが、空気が薄いのですぐ息切れがする。学生達も休み休みだ。休み休みの分、会話は弾む。ふだんは無口のKeitaYoshiakiNikkiConnieと会話を楽しんでいる。記念写真を撮るのが好きな中国の若者気質も、うちとける雰囲気作りに役立っているようだ。私は、日頃のジョギングの成果で、余り息切れもせず、余裕たっぷりで学生達の生態観察を楽しんだ。途中で霧が濃くなり、雪で覆われている筈の頂上はおろか、100m先も見えなくなったが、見晴らしの悪さも、今や彼らには盛り上がる為のネタとなっていた。学生達をリラックスさせ、打ち融けさせると言うZheng教授のもくろみは、見事に成功したと言えよう。苦労して登ったのに結局何も見えなかった事が、逆に忘れられない思い出になるのかもしれない。(つづく)(多田)

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