結局、玉龍雪山は見る事ができずに、麓のレストランでヤクの肉などを入れたしゃぶしゃぶ風の鍋料理を食べ、昼すぎにLijiangの中心部にある宿に戻った。午後は自由行動である。Keitaが声をかけてくれたので、私は、Keita、Nikki、Connieに付いて旧市街を散策する事にした。こういう所は、Keitaは仲々義理堅い。Yoshiakiは、宿で休んでいるとの事。
宿の前の大通りを渡ると、そこはLijiangの古い街並みを残した旧市街区域である。緩く曲った石畳の狭い道に沿って、黒い瓦屋根で間口二三間ほどの店が建ち並ぶ。道は縦横に走り、古い店並みは続く。1km四方を越す区域が丸ごと昔の街なのである。そこに、道いっぱいにあふれる様に観光客がひしめき合っている。時代劇のセットに入り込んだ様な、妙な感覚である。観光客は8割方が中国人で、以外に若者が多い。海外からの観光客もチラホラ見られる。店は、殆どが観光客相手だが、いわゆるお土産屋は少ない。殆どが専門店で、しかも、結構若者向けが多い。Lijiang周辺は、元々、織物で有名なのだそうで、スカーフや着物の店が特に目立つ。それ以外にも、牛の角などを加工した櫛やブローチなどのアクセサリーショップ、独特の色使いでカラフルな靴屋、カバンの専門店など、若い女性が喜びそうな店が建ち並ぶ。実は、日本でいえば、軽井沢の様な、若者のファッションの流行発信地なのだそうである。案の定、NikkiやConnieの眼の色が変わって来た。
Nikkiは、先ず黒いつば広の帽子を買った。彼女の黒のジャケット、パンツによく似合う。実に決まっている。上手く値切って安く買った様で、上機嫌だ。次は、自分用とお土産用のスカーフだが、店をはしごして見て歩く。1件に5~10分、仲々決めずにはしごして歩く。迷って決めかねているという風でもない。恐らく、種類と価格を確認し、どの種類のスカーフをいくらで買うのが妥当かを絞り込んでいるのでは、と想像する。5軒以上は回っただろうか、多分、気に入った種類とその相場が確定したのだろう。ぼちぼち買い始めた。しかし、1軒でまとめ買いはしない。更に、4~5軒を回って、やっと買い物を終えた。
一方、Connieは、Nikkiほどはファッション一辺倒ではない。彼女は先ず、本体にひょうたんが付いた縦笛を買った。店でイロイロ試して、一番音色の良い物を選ぶ。小中学校の頃の思い出の品らしい。また、多分家族へのお土産用に、佃煮の様な物を買う。スカーフなどにも興味がある様ではあるが、Nikkiの様に執拗なこだわりはない。大人の落ち着きを感じる。時々、私やKeitaの事を気にかけてくれ、地元特産の食べ物などを買って勧めてくれたりもする。
Keitaは、店の外で手持ち無沙汰にNikkiやConnieがwindow shoppingが終わるのを待つ。文句も言わず、辛抱強く待つ。感情をあまり表に出さない事と、辛抱強さがKeitaの持ち味だ。結局、Shopping は日暮れ近くまで続き、私は、Nikki, Connie, Keitaの"生態"観察で時間を潰した。(つづく)(多田)