本題の前に会場の話をすると,サンフランシスコは海の近くだからか風が冷たくて寒いです.しかも12月で日が短いので,朝はビルの影で日に当たらず,1日のセッションが終わった後は真っ暗という日々を送っています.もちろん会場の中はそれなりに暖かいですし,天井が高く,ガラス張りなので開放的ではあります.その分,仕事をこなすには向かない場所だとは思いますが.
(ポスター会場のMoscone South)
さて,2日目は多田先生によるIODP Exp346概要のポスターもありましたが,僕が見た中で気になった発表をいくつか挙げてみます.
1. OS22B-06
Distribution patters of mobile mud in the East China Sea: elucidated from particle size, radionuclides and magnetic analysis
Jinlong Wang; Jinzhou Du; Weiguo Zhang; Jing Zhang
"mobile mud"はその名の通り,海底の泥の中でも表層の含水率の多い,ごく最近堆積した泥のことを指しているようです.この発表では,東シナ海のこの"mobile mud"の粒径分布,鉱物組成,季節変化,また帯磁率などによる供給源の推測などがされていました.
今回は堆積過程までは触れていませんでしたが,東シナ海の泥の性質というと他人事ではないので聞き入っていたしだいです.
2. PP23D-06
Intercolony Sr/Ca variability in Palmyra Island corals: Implications for paleo-SST reconstructions
Hussein R. Sayani; Kim Cobb; Anne L. Cohen; Ellen R. Druffel; Brian D. Monteleone
サンゴのSr/Ca比の変化を近傍の数地点で測定し,相互に比較した際にどのような差異がでるのかということを扱っていました.結論としては,近傍の試料で多くの条件が似ている場合であっても,近似曲線の引き方により誤差が大きくなったり,ピークがシフトしたりといった問題が起きており,過去のプロキシを扱う難しさや代表性について改めて考えてみようと思いました.
3. PP23D-07
Holocene ENSO variability at the Line Islands, central tropical Pacific
Sarah M. White; Ana C. Ravelo; Pratigya J. Polissar
最後は面白いと思いつつ内容を飲み込みきれなかったものですが,太平洋中央部のENSOによる水温変動の大きい場所で,有孔虫のMg/Ca比から過去のSST変化を復元したというものです.ここでは有孔虫を1個体ずつ分析して,その温度分布からQuantile-Quantile plotを作成し,ENSOの強度を推定していました.発表者の英語そのものは聞き取りやすかったのですが,Q-Q plot作成のあたりで置いていかれたので,手法のところをどこかで追うことができればと思います.
(齋藤)
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