2012年7月19日木曜日

歴史記録

暑い日がつづいております。烏田@la pru(ホテル名)です。

この数日35℃を超える日が続いており、作業を行う部屋が蒸し風呂というか
サウナというか。。
明後日に冷房がとりつけられることになったのでそれがとても楽しみ。明日にでも来てほしい気分。

こんな暑い中でもサンプリング自体はとても順調。

しかし、少しずつサンプリングを行うメンバーが変わって来ました。

昨日はM2の安部君、今日は高橋先生が去られました。
最初の右往左往なサンプリング時から一緒によりよいサンプリングをめざして頑張ってきたメンバーが去って行くのでちょっとしたお別れパーティーが。

特に安部君は今回のサンプリングでは重要な役割を持つダブルLチャンネルを用いたサンプリングを率いていたこともあり、中川先生から直々にダブルLチャンネル(Nakagawa Channel)サンプリングに欠かせない道具のプレゼントがありました。 写真が撮れていないのが残念です。

そして代わりに昨日からM2の齋藤君と筑波大学から黒川君がやってきました。

水月湖の掘削は一ヶ月以上続くということで今回は人が入れ替わり立ち代わり行って行きます。来週、再来週とさらに他の人が入れ替わりがあります。

個人的には寂しいのですが、その度にビールが飲めるのがちょっと嬉しいことでもあります。


本題のサンプリングはというと、中川先生より扱いがとても難しいという情報からこれまで避けていた表層に近いサンプル(現在に近い時代に堆積した堆積物)のサンプリングが始まりました!


上の写真は一番表層に近いコアの写真。指で差している層は2006年の掘削の成果より江戸時代の寛文の大地震によって形成された層ということが分かっています。

この寛文の大地震の際に水月湖に海水が流入し(通常の水月湖は汽水湖)、そのためこの時代にのみ水月湖に海で生息する珪藻(プランクトンの一種)がこの黒い層にのみに見られるということが理由となっています。

この出来事は古文書などから詳細が明らかになっており
(参照 wiki)http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E6%96%B9%E4%BA%94%E6%B9%96
それと比較出来ることがとても面白いです。自分は普段は人間の記録がほぼ残っていないような時代の研究をしているのでなおさら。

水月湖の堆積物は非常に精密な年代軸が定まっているので色んな古気候のイベントがあった時代前後の環境変動を見る事が出来るので非常に面白いです。



今週も残りあと一日。サンプリング頑張ろう。
そして週末は泳ぎに行くんや!

2012年7月17日火曜日

ツアーと取材

どうも。自己紹介をするのもめんどくさくなってきた烏田です。
誰か他に記事書いてくれんかなー。特にS君とか。

今日は海の日ということで通常ならお休みなのですが、今日は私達は作業をしていました。

訳はこれ。
  

今日は今回の掘削で大変お世話になっている若狭三方縄文博物館の主催で今回の掘削に関する見学ツアーがあったんです。

若い人達はサンプリングの作業をずっとやっていたのですが、先生達は一般の方への説明を頑張られておられました。
 そしてツアーと一緒にテレビの取材陣が・・・
 福井のローカルネットのテレビの取材だそうです。

もう既に今日の6:15頃からのニュースで今回の模様が放映されたそうです。
ちょうど今日の片付けの時間と重なって見れなかったのが残念。。

こんな形で注目を集めるのはめったにないので個人的にはすごく心落ち着かない一日でした。

このツアーはもう一度開かれるらしく、8/5には2006年の水月湖掘削の代表の中川先生と今年の水月湖掘削の代表の多田先生の講演会があるそうなので福井まで来られるかたがおられましたらぜひとも。

でも実はすでに結構ニュースになっているんですよね。。
新聞では二件。
これも2006年、そして過去の研究があってこそだと思います。


水月湖の研究の発端は先ほど述べた縄文博物館が建てられた理由でもある一つの貝塚の研究。

名前は鳥浜貝塚。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B3%A5%E6%B5%9C%E8%B2%9D%E5%A1%9A
日本の縄文時代の研究では大きな成果を上げている貝塚の一つです。

この鳥浜貝塚の研究で当時の環境の復元のために鳥浜貝塚の近くにある
三方五湖の内まず三方湖の掘削が行われ、さらに水月湖の掘削が行われたことで年縞堆積物が見つかり現在の研究へとつながります。

(上の地図のAが水月湖。南にあるのが三方湖です。鳥浜貝塚は三方駅と三方湖の間にだいたい位置します。)

この話を始めると長くなるので今日はここまで。
またの機会にこの話の続きを書きましょう。

正直今日は猛暑でバテバテなんで。明日もハードそうだ。。

昨日食いそびれたうなぎ食いたい。

2012年7月15日日曜日

一週間を終えて・・

毎度の烏田でございます。

多田先生が投稿をされたみたいですが、
こちらも負けずに投稿できればと思います。

7月5日から始まった水月の掘削も10日が経過しました。
こちらにいると毎日が問題の発生→対応に追われるの連続で
あっという間でした。

掘削自体が始まってから一週間が経過しやっとコアの処理方法に慣れてきたという所です。

そしてその掘削はというと、堆積物の年代がHolocene(完新世)からついに氷河時代に突入しました!!


古気候の研究の中で氷河時代から間氷期(完新世、おおよそ現在の気候状態)に至った過程は大きなトピックなのですが、現物の堆積物コアで見ながら中川先生のお話が聞けた(それも論文投稿中の最新の話題)のはものすごく贅沢な時間でした。

ちなみに今回の話題に上がったのはベーリング/アレレード期と呼ばれる15000年前後から始まる温暖期の記録が残ったコアです。この時代に水月湖の堆積物には沢山の洪水堆積物と思われる層(上の写真の白いバンド層が相当)が存在し、温度上昇の時期に気候が不安定になり洪水が頻繁に起きたのではないか?と議論をしていました。

あとビックリだったのは突然横山研究室のD3の山口さんが来訪されたこと。
琵琶湖の方で学会がありそのついでに来られたそうですが、本当に突然だったので驚きでした。


週末は掘削を行われる業者さんがお休みということで私達もお休み。
明日はちょっと出かける予定です。

ではでは。 水月湖に関する研究概要と年縞のこといつ書こうか・・・

2012年7月12日木曜日


烏田君に負けないようにと、原稿を書いたのですが、しばらくアップしないうちにパスワードを忘れてしまいました。1日経ってしまいましたが、やっとアップできました。

水月湖科学掘削コア分割作業 いよいよ開始

7月5日に現地入りして以来6日目、やっと掘削試料の分割、記載、試料分割作業が始まりました。プレハブ作業小屋の設営、整備に3日、練習用コアを使った全員での各作業ステップの内容確認と手順の検討、作業環境の整備などに2日を費やし、6日目にやっと本番の作業に入ることが出来ました。今回、協力をお願いしたニューカッスル大の中川教授が、試料やデータの質、精度に徹底的にこだわる研究者であることを私は以前から良く知っており、だからこそ掘削前の集中講義や掘削作業への全面協力をお願いしたのですが、それにしても期待以上の徹底ぶりです。Fail Safe (失敗しても、それをカバーする別の道を必ず用意しておくという考え方)の考え方とともに、Fool Proof(想像を超えるバカな行為によっても、破綻しないような仕組みを作る)という考え方にこだわり、使いやすく、間違いが起こりにくいシステム作りを皆で考え、議論しながら作り上げてゆくその態度は、参加院生やポスドクなどの若手研究者を魅了し、皆、議論と工作を楽しみながら7時過ぎまで作業を続けています。食後のミーティングでも、皆が率先して議論に参加し、用語の統一、記載シートの工夫から補助用具の開発まで、熱い議論が交わされ、翌朝には、それが実体となって現れる、といった具合です。実際に参加した人でないと、このexcitementが伝わらないのが残念です。下に、掘削前半の参加者の記念写真でを載せました。(多田)

2012年7月11日水曜日

サンプリング開始

3日ぶりでしょうか?水月湖よりお届けしております。

この数日はサンプリングを行う最終確認の作業に追われていて
作業が終わったら即寝てまた起床して朝食の後に作業という毎日でした。

さらに人が集まりサンプリングが出来る人員が揃ったため、
今回のサンプリングに関しての説明がまずありました。
水月湖での掘削では堆積物があっという間に変色を起こしてしまうデリケートなサンプルであること、またミリ単位精度でのサンプリングが要求されるためにいくつかの特別な行程を挟んでいます。


そして今回の概要が分かった後は決起集会!
 今回実際に掘削を行われる業者さんも含めて飲みを行いました。
ちなみに下は業者さん(還暦を遥かに超えられた方)と多田先生との握力勝負。
勝負は多田研男子メンバー全員で挑み全滅。。九州男児強し。


あとは2006年の中川先生が行われたサンプリングの経験よりまず練習用のコアを取って頂き、それを使ってサンプリングの練習を行いました。
上の写真はM1の鈴木君が出て来た堆積物コアの表面を削っている風景。

水月湖の堆積物は還元的な環境で堆積したため、有機物や還元的な物質が沢山含まれており、空気に触れるとすぐに色が変わるためにこの行程が必要なのですが、テクニックが必要として難しい。。

また人が入れ替わり立ち代わり作業を行うということで「フェイルセーフの原則」に基づきこの練習中にミスを起こさないためのルール作成や物の制作も行いました。

そしてついに今日から実際のサンプリング開始しました!


今日はまだ慣れていないので2m程度しかサンプリングができませんでしたが、
非常に綺麗な平行葉理(水月湖の場合は年縞)が見えました!!

やっぱ質の悪いカメラではハッキリ見えませんね。。
でもコアの中に黒白が沢山見えると思います。これが水月湖の堆積物の特徴です。
そしてこの模様にこそ今回、そしてこれまでの研究が水月湖で行われて来た理由があります。

その話はまた次にしましょうか。

ではでは。明日もサンプリング頑張っぞー!!

2012年7月7日土曜日

準備準備準備!

どうも。烏田@水月湖です。

昨日から始まった水月湖の掘削も明日からの本格的なサンプリング開始を控えて
準備作業が佳境に入っています。

昨日今回のサンプリングを行うためのプレハブ小屋が建ったという話をしたと思うのですが、今日はそのプレハブ小屋の内装準備。

これが今回建てたプレハブ小屋になります。そして準備はというと・・・


先生も学生(といってもD以下の学生は今日まで自分だけですが。。。)関係なく準備をしています。むしろ先生達が率先してやっているような(笑)

特に上の写真の中川先生は今回の掘削のためだけの特製マシンを作成中ですので、完成したら中川先生のコメント付きで紹介したいと思います。

午後からは高橋先生も合流されてさらに増えたメンバーで準備。 やっとサンプリングの一連作業を行えるようになりました。

そして業者さんによって制作が行われていた水月湖上に掘削用のフロートがついに完成しました!!

見えますか?(笑)湖の中に点のように見えるのがフロートです。
iPodtouchでの撮影なんでこれ以上は無理でした。。
明日朝共同研究者の原口先生のボートに載せてもらえそうなので、明日にはきちんとした写真が取れると思います。ボート楽しみ!!

あと楽しみといったらホテルの食事。

 めっちゃ豪華です。サザエのつぼ焼きから始まり、イカの姿作り、小鯛の煮付け、うなぎのせいろ・・・

なんかこれだけで水月湖に来てよかったと思えるレベルです。

この晩餐の時に先ほど名前が出た原口先生の最近の研究の話で盛り上がったので、
晩餐後にパワーポイントを交えてのお話。
原口先生は3.11の東日本大震災から津波の遡上高と津波によって発生した地形変化を震災直後から調べられており、青森から千葉の太平洋沿岸の結果を現地の写真を交えながら紹介をされました。
ちなみに成果がこちらにまとまっているそうです。
http://www.amazon.co.jp/%E6%9D%B1%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%A4%A7%E9%9C%87%E7%81%BD%E6%B4%A5%E6%B3%A2%E8%A9%B3%E7%B4%B0%E5%9C%B0%E5%9B%B3%E3%80%88%E4%B8%8A%E5%B7%BB%E3%80%89%E9%9D%92%E6%A3%AE%E3%83%BB%E5%B2%A9%E6%89%8B%E3%83%BB%E5%AE%AE%E5%9F%8E-%E5%8E%9F%E5%8F%A3-%E5%BC%B7/dp/4772271120

わずか一年ちょっと前の出来事なのですが、紹介のスライドはこれまで見た事なかったような写真のオンパレードで絶句。。 考えさせられました。。。


明日は待ちに待ったサンプリングが始まります。サンプリングに合わせてさらにメンバーがやってきます。さらに騒がしくなりそう。

ではでは。
原口先生の話だと夜明けと共にボートを出すそうなんで早く寝なければ!

2012年7月6日金曜日

水月掘削開始!

どーも。M3の烏田@福井です。

ついにこの日が来ました!
準備が始まってから一年以上、本格的な準備が始まってから半年近く。

昨年度から始まった多田教授主導の基盤Sのプロジェクト内で
最大の計画と言って良い水月湖の湖底堆積物の掘削がついに始まりました。


と言っても今日は研究者の人達が水月湖に集合し、打ち合わせと準備をしただけですが。。
その模様をちょっとだけお届けしようかと思います。


まず今日は初日ということで顔合わせと今日~明日に行われる準備の軽い打ち合わせから。

実は水月湖ではかつてから沢山の研究が行われており(今度にでも説明をしようかと思います。)これまでの研究成果と問題点を軽くピックアップした上で今回(特にこの数日)で行うことの確認をしました。

そしてそれぞれ担当の準備を開始。

今回は業者の方が湖の上に浮かぶ形で掘削装置を建設するのですが、その組み立てが湖畔で行われていました。
ビックリしたのはテレビの取材があったこと。地元で放映がされるとのことらしいです。



そして私達は東京から送って来たサンプリング用の資材をひたすら運搬。ちなみに今回は東京から一人用引っ越しパック×2人分を送っています。


今日最後の準備は掘削を行うポイントの選定作業。多田先生がボートに乗って水月湖の中に消えていきました。めっちゃ乗りたかった。

夕方は屋外での作業を終え、風呂と晩餐(と言っていいレベルの豪華な食事でした。)を挟んだ後にさらに細かい打ち合わせ。

アルコールも入ってはいましたが(笑)、今回のデータ取得の流れと取り方について綿密な議論が多田先生と中川先生(2006年に水月湖の掘削を行われた先生)の間で盛んにされました。

がさすがに明日もあるということでお開きになったという感じです。

明日も朝からバリバリ準備が進みます。
多分明日には今回のサンプリングのためだけに建設したプレハブ小屋の様子などをお届けできればと思います。


ではでは。明日のために今日はもう寝ます。