2015年9月4日金曜日

週刊葛生 第二十三号 尾根露頭編

 みなさんこんばんは。修士2年のMです。


 もう夏が終わってしまいますね。日が短くなったり、やたら涼しくなったりと、テンションの下がる今日この頃ですが、それでも地球は回り続けるので、頑張るしかないですね。


 さてさて、今日は先週の沢露頭編に引き続き、尾根露頭編です。

 沢と同じように、尾根に沿って歩いて地質調査をすることも有ります。

御岳付近・東京都奥多摩町

 こちらは卒論の時の写真です。当時からお世話になっている先生がでっかいチャートの岩を見ています。懐かしい一枚です。


梵天尾根・埼玉県秩父市

 この写真では石灰岩の岩が尾根上に突き出ています。塔みたいですね。


 写真でお気づきかもしれませんが、尾根上は必ずしも露出が良く有りません。

狩倉尾根・埼玉県秩父市

 こんなに何も岩が出てない尾根のほうが一般的なくらいです。


 それに、岩が出ていれば、それはそれで大変です。

大ナゲシ・群馬県上野村

 上の写真のような岩稜では、移動はかなり厳しいものになります。特に、こちらの写真のようにチャートの岩稜では、下手に動くと岩の角で切り裂かれます。



 海岸や沢と違って常に浸食を受けていないため、尾根上の岩は風化面が削り取られず、あまり新鮮な岩石が見られません。

南天山付近・埼玉県秩父市

 こちらの写真では、花崗岩が見えているのですが、どうでしょう。花崗岩って白いイメージじゃないですか?風化した残念な色の岩石になっていますね。


霧藻ヶ峰・埼玉県秩父市

 こちらはチャートですが、地衣類が張り付きまくってなんだか良く分かりませんね。それ以前に雪が、とか言わないでください。


 さらに文句を言えば、尾根上は遮るものがないので、雨でも降ろうものなら大変です。

四期荻・埼玉県秩父市

 写真は石灰岩の岩稜ですが、大きな木がなく雨に濡れまくっています。


 なんだよ、尾根露頭って、良いとこないじゃん、って思ってます?

 おい、ちょっと待って。

 露出も悪いじゃんか、とか、露頭有っても奇麗な石採れないし、とか、移動は大変だし、しんどいことばっかり、とか、思ってんじゃねえのか?おい?




 でも大丈夫!尾根露頭には、これが有ります。


三国尾根・埼玉県秩父市

 写真は、埼玉県と長野県の県境にある梓白岩という石灰岩峰です。すばらしい展望ですね。


白泰山付近・埼玉県秩父市

 チャートの断崖絶壁の上からの展望です。谷底までの芽吹き具合のグラデーションがイイですね。


赤岩尾根・埼玉県秩父市

 赤チャートが、新緑に映えて美しい!!


和名倉山付近・埼玉県秩父市

 青い空、紅いチャート。好いですね。いや、画像処理とか、そんなのする訳ないじゃないですか。


 どうでしょう?尾根には、海岸や鉱山や沢の様に新鮮な岩石が広く露出していない場合も有りますが、それらにはない絶景が有るんですよ。

 もし、他の人に自分のフィールドワーク姿の写真を見せる機会があれば、実はあまり良い露頭ではなくても、尾根で絶景をバックに写真を撮って見せるのをお勧めします。


 ちなみに、露出も絶対悪い訳じゃないんですよ?

二子山・埼玉県小鹿野町

 先々週の鉱山露頭編で紹介した叶山と毘沙門山の間にある石灰岩の山です。かなり大規模に石灰岩が露出してます。まあ、あの崖を調査できるのかと聞かれると、「…」なところは有りますが。


 ついでに、尾根ではないですが、雰囲気が似ているので、これも載せちゃいましょう。



 どこだか分かります?

 これ、富士山のお鉢の内側です。ここにも露頭が有るんですね。



 ところで、「尾根露頭って、石灰岩とチャートばっか出てくるなぁ」とか思いました?

 実は、偶然ではないんです。石灰岩やチャートのように風化に強い岩石は、風化し残されて尾根上の岩稜や岩峰になりやすいので、尾根では他の岩石より露頭になりやすいんです。



 さあ、4週も引っ張ってしまった◯◯露頭編も、次号が最後です。そろそろ飽きて来たかもしれないし、ちょうどいいかな?



 それでは、ごきげんよう。さようなら。

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