2011年6月24日金曜日

旅暮らし。(重要なお知らせ)

研究室のメンバー は、研究活動のため国内外の様々な研究機関やフィールドに出かけています。

7月は、下記のような予定があります。
多田教授・斎藤さん、王さんは中国に調査に出かけます。(6月29日ー7月11日)
また、高橋と池田さんは、国際学会参加のためオーストラリアに行ってきます(7月2日−10日)
そして、再び多田教授・久保田さんは国際学会のためスイスに出かけます(7月20日-27日)

学部4年生の皆さんは卒業研究の内容を決めるため興味のある研究室を訪問・見学していることと思いますが、多田教授、高橋と面談を希望の場合は上の出張期間後あるいはe-メールにて対応します。また、研究室の雰囲気等、院生の先輩に聞いてみるのもよいでしょう。
一緒に海外での研究活動にも挑戦するメンバーが増えることを期待しています。
(高橋)

大量絶滅発生直後の海洋には窒素同化生物が増加していた

論文紹介です。

Luo, G., Y. Wang, T. J. Algeo, L. R. Kump, X. Bai, H. Yang, L. Yao, and S. Xie (2011), Enhanced nitrogen fixation in the immediate aftermath of the latest Permian marine mass extinction, Geology.

約2億5千200万年前、 ペルム紀末 の大量絶滅後、数百万年間造礁生物の化石記録が途絶え、その代わりに、浅海域では微生物から由来した炭酸塩岩が残されていることが明らかに なっています。これらの堆積物中の有機物の分子化石や同位体記録からも、大量絶滅後の緑色硫黄細菌やシアノバクテリアなどの寄与量が増加したことが示され てきました。
Luo らの研究グループはは、南中国に残る微生物マット石灰岩(Microbialite)を含む二つのペルム紀三畳紀境界層セクション(Taiping、 Zuodeng)より、堆積物中に残るバルクの有機炭素と窒素同位体比を測定しました。この2つの海生層セクションは、microbialiteに岩相が 移り変わるペルム紀末の大量絶滅層準において、有機炭素同位体比の減少とともに3パーミル窒素同位体比が減少することを示しました。このデータは、過去に 研究されたこれらのセクションよりも浅い海域に位置していたと考えられる中国メイシャンセクションの傾向とも一致します。これらの低い窒素同位体比の値 は、微生物窒素同化の寄与量が増加したことを示します。そして、窒素同化(脱窒やアンモニウム酸化)の増加の背景には循環の停滞した無酸素海洋の発達が考 えられます。また、彼らは、窒素サイクルの変動は窒素酸化物(NO2)の放出をもたらし、温暖化の進行に寄与した可能性があると述べています。N2Oの温 暖化に寄与する影響はCO2の〜1000倍だそうです。また、従来、軽い窒素同位対比をもたらした窒素同化生物としてシアノバクテリアがあげられてきまし たが、今回の研究セクションでは、シアノバクテリア由来の分子化石の増加は見いだされなかったそうです。また、無機炭素同位体比と有機炭素同位体比との差 がメイシャンセクションほど減少せず(メイシャンで検出された減少量よりも3-4パーミルほどの差が小さい)、重い炭素同位体比をもたらす緑色硫黄細菌な どの一次生産者が浅いメイシャンの海域よりも研究セクションが記録するより深い(陸から離れた)海域では多くなかったことが考えられます。したがって、窒 素と炭素の同位体比の記録から、大量絶滅直後の微生物の生態系変化は、浅海ー深海で異なっていたと考えられるそうです。(高橋)

2011年6月23日木曜日

300万年前のエルニーニョ南方振動の証拠

D2の久保田です。
論文紹介です。
東赤道太平洋のコア から浮遊性有孔虫を使って温度躍層の経年変動を復元するという手法です。
ODP site 846はLawrence et al.(2006, Science)にも載った東赤道太平洋を代表するコアですね。
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赤道域は大量の熱を貯蔵しているので、将来の温暖化に伴いENSOがどう変動するのかは、重要な問題である。その点で、今から300万年前の温暖期は将来の温暖化世界のアナログとして注目されている時代である。先行研究では、恒常的にEl Ninoの状態が続いていたのではないかと言われているが、数年スケールのENSOが存在したのかどうかは明らかにされていなかった。
この研究では、3種類の浮遊性有孔虫を使い、8つのタイムスライスで有孔虫の酸素同位体比の分析を行い経年変動の変動幅を復元した。用いられた種は、生息深度の違うG. ruber, G. minaridii, N. dutertreiである。この3種について個体ごとの酸素同位体比(1種につき40個体)の分析を行っている。
その結果、300万年前にも現在と同様な数年スケールのENSOが存在したことを示唆し、その変動幅も現在と同程度であった。
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Persistent El Niño–Southern Oscillation variation during the Pliocene Epoch
N. Scroxton,S. G. Bonham, R. E. M. Rickaby, S. H. F. Lawrence, M. Hermoso, and A. M. Haywood
PALEOCEANOGRAPHY, VOL. 26, PA2215, doi:10.1029/2010PA002097, 2011

2011年6月11日土曜日

システム講座ガイダンス

本日午後から、大学院入学希望者に対する講座のガイダンスが行われました。

来年、どんなメンバーが加わるか楽しみです。

研究室の紹介は5分間の短い時間に限られていましたので、私たちの研究に興味のある方は是非研究室を見学に来て下さい。

毎週木曜日には、メンバーが集まってランチミィーティングを行っています。研究室の雰囲気が分かると思います。

また、6月17日(金曜日)には、卒論課題のテーマを説明したいと考えています。どちらもお昼12時からですのでのぞいてみてください。

また、個別に多田・高橋のお部屋を訪ねて話をすることも可能ですのでご連絡下さい。



みなさんと一緒に研究できることを楽しみにしています。