2017年7月14日金曜日

週刊葛生 第七十二号 IGCP630安家巡検編

 みなさんこんばんは。博士2年のMです。


 さてさて、今回は何回か前にやった国際会議IGCP630の巡検の続きの話です。

 葛生で巡検があった話をしましたが、その後第二弾の巡検が岩手県岩泉の安家で行われ、私も案内者の一人として参加しました。こちらでも紹介されていますが、我が研究室の公式な広報機関はこのブログですからね。ちゃんと紹介しておきましょう。

 でも、まじめな話はあちらに任せておきますね。


 さて、岩泉の安家地域では我らが高橋聡先生が卒論の頃から研究を行ってきました。

 というわけで、

高橋先生がメインの解説者を務めます。

 さらに、高橋先生にコノドントを教えた宮崎大学の山北先生も昔からこの地域の付加体を調査しています。

チャートを割ってコノドントを探す山北先生(左)と中国のコノドント専門家のZhao Laishi教授(右)。

 私もこの方々に野外でのコノドントの探し方を教わったのですが、山北先生や私がチャートを割ってコノドントを見つけているのを見て、海外からの参加者たちも次々と参戦します。
中国代表前衛。
中国代表後衛。
イギリス代表。
オランダ代表。


 結果は20対0くらいで日本代表の圧勝でしたね(笑)まあ、そんなにすぐに皆ができても困りますからねぇ。でもみなさん楽しまれているようで何よりでした。

 それに、良く晴れていたのもラッキーでした。コノドント探しに必要なの執念と光と信仰心少しの幸運ですから。


 参加者のみなさんのもっぱらの関心は、深海堆積岩層中のペルム紀−三畳紀境界です。そもそも、この時代に起きた生物絶滅事変を題にした会議ですからね。

深海堆積岩層中のペルム紀−三畳紀境界を前に。

 高橋先生は露頭だけでなく、我々の調査道具も自慢していました。

秘密兵器です!

 説明のあとには、皆で集合写真。

葛生巡検の集合写真よりも迫力があるのは、気のせいですね。

 高橋先生も満足そうですね。

 巡検2日目には、さらに古い石炭紀にできた深海堆積岩層も観察します。

石炭紀のチャートは、日本でも珍しい方です。

 草とネットの合間から見えるへぼい露頭を観察するというジャパニーズスタイルも、葛生から一緒の参加者は慣れてきたのかもしれません。


 それから、1日目とは異なるところにある、“もう一つのペルム紀−三畳紀境界”も見ました。こちらは私も初めてです。

大鳥集落付近にある“もう一つ”の方。

 ペルム紀−三畳紀境界はもちろん皆の注目の的でしたが、そもそも深海堆積岩の層状チャート自体が海外の研究者にとっては珍しいものなので、堆積物としての特徴についても色々と質問を受けました。

日本の地質の「当たり前」を知らない地球科学の専門家に納得してもらえる答えをするのはなかなか能力が試されます。

 2日とも晴天に恵まれ良かったです。

ペルム紀のチャートの上で記念撮影。


 見学後にはいつも調査の拠点としている安家松林の集落内にて休憩しました。この巡検自体も岩泉町の皆様に大変なご協力を頂いて成立しました。感謝が絶えません。

修復されたばかりの路肩が見えています。

 昨年の台風被害の爪痕も残る中、巡検を受け入れてくださったこと、ありがたい限りです。最後に参加者の多くはお礼の気持ちもこめて集落内の売店でビールを買ってお金を落として行きました。


 それでは、ごきげんよう。さようなら。

2017年6月30日金曜日

週刊葛生 第七十一号 調査の後始末編

 みなさんこんばんは。博士2年のMです。

 東京は雨ですねぇ。

「お前が東京に帰ってきたから!」

 って思ってるんじゃないですか?私がいた間、津久見は大雨から守られていましたよ?


 そもそも戻ってきたことを知らないって?それもそうですな。


 昨日大分から運転して、
津久見−福岡空港間は下道で250 kmです。

 福岡から飛行機で夕方に東京に帰りました。


 今回は、調査から帰った翌日に起こる様々な出来事について書こうと思います。


 調査が終わったら一息、とはいかないんです。


 まあ、とりあえず大学に出勤しますね。疲れたので社長出勤ですが。

雨ですね。いやだな〜。

 屋根付の駐輪場はわずかなので、仕方無くチャリには濡れてもらいます。


屋根付駐輪場はいっぱいです。
 我が大学は盛んに新しい建物を造っておりサグラダファミリアですが、そのうちいろんな駐輪場に屋根をつけてくれるでしょうか?

 研究室では、まずこれが始まります。

会計士になります!

 領収書の整理です。研究費で請求するものとそうでないものが混在してますからね。必要なものはコピーを取ったり事務に提出したりします。パソコンは自分の研究費およびポケットマネーの経済状況を把握するためのエクセルを開いています。

 これでだいたいおやつの時間になります。ちょうどその頃

サンプル襲来。多い時は一台の台車で運べません。

 郵送したサンプルと調査用具たちが届きます。

 これらを運んで行きます。
運びます。
運びます。。
運びます。。。



 運ぶ先は、標本保管庫です。

地下に保管庫があります。

 ここで荷解きをします。

段ボールを明けて中のサンプル袋を明けます。
何でしょう?
 何やらクモに捕まった虫みたいなのが入っていますね。

開けると石が出てきました。

 壊れやすいサンプルを包んでいたのですね。

 中には

「臭っ!」

 密閉されて香りを発し始めているものも。だからこうして開いて乾燥させるのが大事なんです。


 これで終わったと思ったあなた。

「まだまだ終わらないぞ!何リラックスしてんだ!」

 このあとフィールドノートを使います。

ノートを取り出してパソコン室へ行きます。

 何をするかと言うと、

1ページずつスキャンします。

 スキャンです。画像データとしても保管しておくためです。

 スキャンにも時間がかるので、ちょいちょい同時に作業をします。

自分のパソコンを同時に開いて時間を活用します。

 何か背中に書いてありますね。


大分のお土産です。

 じゃあブログ書くなよ、って話ですね。


 こんな調子で調査の翌日はほぼ何も生産せずに終わります。

 それでは、ごきげんよう。さようなら。

2017年6月25日日曜日

週刊葛生 第七十号 チャートのぐちゃぐちゃ続編

 みなさんこんばんは。博士2年のMです。


 前回の学会の巡検には続きがあるのですが、それはまた別の機会にすることにしまして、今回は再び調査先からの生放送です。


 私は今度は一気に南へ移動しました。


温泉だらけです。ハゲの温泉?

 どこだかわかりますか?




 大分ですね。大分と言えば、津久見です。


実際はこの看板はわりと津久見の奥にあります。


 福岡から運転すること200 km超、鉱山が見えてくると津久見に戻ってきた実感が湧きます。


石灰鉱山の町です。

 以前に津久見から地層の変形した様子を紹介したことがありましたが、今回はその続きです。海岸の露頭ではチャートの褶曲などの変形がよく見えるんです。



三重に折れ曲がっています。
 どこぞのコンテストに出そうですね。


褶曲の軸部は砂と礫に埋もれています。
 この写真では、砂礫の下に更なるぐちゃぐちゃが眠っていそうです。


断層のそばでチャートの層が破断しています。
 こちらの褶曲は断層にともなっています。


これは一体何が起きたんでしょう。
 もはや狂気を感じます。



白いチャートにあったはずの層理面はどこへ行ったのでしょう?
 こちらは褶曲ではありませんが、チャートの堆積環境を解釈することの難しさを感じる一枚です。


 地層を調べて行くと昔のことがわかるというのは当たり前のように思えますが、チャートから昔のことを聞き出すのはそれほど簡単ではないですね。

 まあ、チャートとしては、「吾輩は2億年以上前から変形を続けてきたんだ。数十年しか生きていない貴様などに今更変形を戻される筋合いは無いわ。」と思っているのでしょうね。




 最後に、おまけでこちらの写真を。


全部で800円くらいです。

 やっぱり津久見にきたら刺身ですね!


 それでは、ごきげんよう。さようなら。

2017年6月17日土曜日

週刊葛生 第六十九号 世界が羽ばたく葛生編

 みなさんこんばんは。博士2年のMです。

 今、再び栃木に来ています。なぜか、それは、話すと長くなります。




 今週前半、ペルム紀−三畳紀境界に起きた絶滅事変についての国際会議が仙台で開かれ、そこに参加していました。


学会会場の東北大学です。

 世界各国から研究者が集まっています。
集合写真です!

 私も発表をしたのですが、当然自分の発表中は撮影ができません。きっと一緒にいた高橋先生がそのうち画像をアップしてくれるでしょう。

 国際会議にはエキシビションの展示もあり、高橋先生とわたしが研究している深海堆積岩も展示しました。


安家森を世界に知らしめた、幸運のヒンデオダスです。

 さて、会議が終わったあとには、この機会を活かすために海外の参加者の一部をつれて巡検に行きます。


新幹線で仙台を後にします。

 向かった先は。。。


前回のブログからお分かりですね?

 そう、葛生です!!!!!!!

 しかも、私が研究してきた大釜に海外の研究者が見学に来ることになりました。
大釜の露頭の変形部を観察する参加者です。

 先週の葛生調査は、この巡検の下見でもあった訳ですね。

 まさか、5年前に私たちが掘り出すまで存在しなかったこの露頭がこんな注目の的になるとは。感涙を禁じ得ませんね。気持ちがこもていないって?いやいや、ホントですよ。


大釜の露頭前で記念撮影。露頭がへぼすぎてあまり映っていないのがポイントですね!

 また、大釜の露頭では立派なコノドントを見つけることができ、海外からの参加者に良いお土産を渡せました。


渡してあげたコノドントを見てご満悦のコノドントの専門家Zhao Laishi教授(中国)。

 露頭の規模としては海外には全く負けるので、どう反応されるか疑問だったのですが、意外にも大釜で過ごす予定だった1時間30分は一瞬で過ぎ、時間が足りないくらいでした。

移動の時間になっても名残惜しげな参加者たち。


 午前に大釜を見学したあとは、葛生の町に戻ります。


葛生市内の料亭味楽で昼食をとりました。

 そして、午後は吉澤石灰さんの協力のもと、鉱山内の石灰岩露頭を観察しました。


鉱山内までバスで入ります。運転手さんもたいへんです。

 ペルム紀の石灰岩は、中国にも多く見られるそうで、中国から来た研究者たちが日本と中国の類似点を見つけて話してくれました。
鍋山層の石灰岩を観察するZhao Laishi教授(中国,写真中央)、Jinnan Tong教授(中国,写真左奥)ら。

 一方、日本の付加体に見られる石灰岩には特異な構造もあり、海外の石灰岩のスペシャリストも食い入るように露頭にへばりついていました。イギリスから来ていた専門家は、「この露頭は1ヶ月かけて念入りに記載すべきだ!」とおっしゃっていました。


意見を交わすStephen Kershaw教授(イギリス,写真左)と荒川竜一さん。世界各地で研究をする炭酸塩岩の専門家と葛生を知り尽くす地域地質の専門家が出合うすばらしい瞬間です。

 やはり鉱山露頭は露出がすばらしいです。吉澤石灰さんには大感謝です。それに、天気にも恵まれて良かったです。
鉱山の下部の石灰岩層も、ちょうど採掘が終わったところで見学させて頂けました。



 ところで、このブログのタイトルが「世界に羽ばたく葛生編」の間違いだと思っている方もいるかもしれませんが、違いますよ?葛生が羽ばたくには、この世界は狭すぎます。世界の研究者が葛生に来て羽ばたくんです。


 夜は、地鶏料理屋で飲み会があり、楽しく巡検を終えました。


日本食は割りと皆さんに受けが良いです。

 巡検はこのあと岩手へ場所を移します。しかし、来週は私は津久見に調査に行きます。

 ということで、次回号の内容は未定です。


 それでは、ごきげんよう。さようなら。