2017年6月25日日曜日

週刊葛生 第七十号 チャートのぐちゃぐちゃ続編

 みなさんこんばんは。博士2年のMです。


 前回の学会の巡検には続きがあるのですが、それはまた別の機会にすることにしまして、今回は再び調査先からの生放送です。


 私は今度は一気に南へ移動しました。

温泉だらけです。ハゲの温泉?

 どこだかわかりますか?




 大分ですね。大分と言えば、津久見です。

実際はこの看板はわりと津久見の奥にあります。


 福岡から運転すること200 km超、鉱山が見えてくると津久見に戻ってきた実感が湧きます。

石灰鉱山の町です。

 以前に津久見から地層の変形した様子を紹介したことがありましたが、今回はその続きです。海岸の露頭ではチャートの褶曲などの変形がよく見えるんです。


三重に折れ曲がっています。
 どこぞのコンテストに出そうですね。


褶曲の軸部は砂と礫に埋もれています。
 この写真では、砂礫の下に更なるぐちゃぐちゃが眠っていそうです。

断層のそばでチャートの層が破断しています。
 こちらの褶曲は断層にともなっています。

これは一体何が起きたんでしょう。
 もはや狂気を感じます。


白いチャートにあったはずの層理面はどこへ行ったのでしょう?
 こちらは褶曲ではありませんが、チャートの堆積環境を解釈することの難しさを感じる一枚です。


 地層を調べて行くと昔のことがわかるというのは当たり前のように思えますが、チャートから昔のことを聞き出すのはそれほど簡単ではないですね。

 まあ、チャートとしては、「吾輩は2億年以上前から変形を続けてきたんだ。数十年しか生きていない貴様などに今更変形を戻される筋合いは無いわ。」と思っているのでしょうね。




 最後に、おまけでこちらの写真を。

全部で800円くらいです。

 やっぱり津久見にきたら刺身ですね!


 それでは、ごきげんよう。さようなら。

2017年6月17日土曜日

週刊葛生 第六十九号 世界が羽ばたく葛生編

 みなさんこんばんは。博士2年のMです。

 今、再び栃木に来ています。なぜか、それは、話すと長くなります。




 今週前半、ペルム紀−三畳紀境界に起きた絶滅事変についての国際会議が仙台で開かれ、そこに参加していました。


学会会場の東北大学です。

 世界各国から研究者が集まっています。
集合写真です!

 私も発表をしたのですが、当然自分の発表中は撮影ができません。きっと一緒にいた高橋先生がそのうち画像をアップしてくれるでしょう。

 国際会議にはエキシビションの展示もあり、高橋先生とわたしが研究している深海堆積岩も展示しました。


安家森を世界に知らしめた、幸運のヒンデオダスです。

 さて、会議が終わったあとには、この機会を活かすために海外の参加者の一部をつれて巡検に行きます。


新幹線で仙台を後にします。

 向かった先は。。。


前回のブログからお分かりですね?

 そう、葛生です!!!!!!!

 しかも、私が研究してきた大釜に海外の研究者が見学に来ることになりました。
大釜の露頭の変形部を観察する参加者です。

 先週の葛生調査は、この巡検の下見でもあった訳ですね。

 まさか、5年前に私たちが掘り出すまで存在しなかったこの露頭がこんな注目の的になるとは。感涙を禁じ得ませんね。気持ちがこもていないって?いやいや、ホントですよ。


大釜の露頭前で記念撮影。露頭がへぼすぎてあまり映っていないのがポイントですね!

 また、大釜の露頭では立派なコノドントを見つけることができ、海外からの参加者に良いお土産を渡せました。


渡してあげたコノドントを見てご満悦のコノドントの専門家Zhao Laishi教授(中国)。

 露頭の規模としては海外には全く負けるので、どう反応されるか疑問だったのですが、意外にも大釜で過ごす予定だった1時間30分は一瞬で過ぎ、時間が足りないくらいでした。

移動の時間になっても名残惜しげな参加者たち。


 午前に大釜を見学したあとは、葛生の町に戻ります。


葛生市内の料亭味楽で昼食をとりました。

 そして、午後は吉澤石灰さんの協力のもと、鉱山内の石灰岩露頭を観察しました。


鉱山内までバスで入ります。運転手さんもたいへんです。

 ペルム紀の石灰岩は、中国にも多く見られるそうで、中国から来た研究者たちが日本と中国の類似点を見つけて話してくれました。
鍋山層の石灰岩を観察するZhao Laishi教授(中国,写真中央)、Jinnan Tong教授(中国,写真左奥)ら。

 一方、日本の付加体に見られる石灰岩には特異な構造もあり、海外の石灰岩のスペシャリストも食い入るように露頭にへばりついていました。イギリスから来ていた専門家は、「この露頭は1ヶ月かけて念入りに記載すべきだ!」とおっしゃっていました。


意見を交わすStephen Kershaw教授(イギリス,写真左)と荒川竜一さん。世界各地で研究をする炭酸塩岩の専門家と葛生を知り尽くす地域地質の専門家が出合うすばらしい瞬間です。

 やはり鉱山露頭は露出がすばらしいです。吉澤石灰さんには大感謝です。それに、天気にも恵まれて良かったです。
鉱山の下部の石灰岩層も、ちょうど採掘が終わったところで見学させて頂けました。



 ところで、このブログのタイトルが「世界に羽ばたく葛生編」の間違いだと思っている方もいるかもしれませんが、違いますよ?葛生が羽ばたくには、この世界は狭すぎます。世界の研究者が葛生に来て羽ばたくんです。


 夜は、地鶏料理屋で飲み会があり、楽しく巡検を終えました。


日本食は割りと皆さんに受けが良いです。

 巡検はこのあと岩手へ場所を移します。しかし、来週は私は津久見に調査に行きます。

 ということで、次回号の内容は未定です。


 それでは、ごきげんよう。さようなら。
 

2017年6月9日金曜日

週刊葛生 第六十八号 聖地巡礼リターンズ編

 みなさんこんばんは。博士2年のMです。

 いま、また葛生に来ています。


 葛生に来る途中良く寄っているラーメン屋。

東武佐野線田島駅近くのゆたか屋です。

 みなさんも佐野ラーメンを食べてみてください。


 石灰の鉱山を見ると、来たな!という感じです。

好いですね。

 今回はいつもの大釜より奥の方の秋山というところにも行ってみました。1970年頃からコノドントの研究がされていたところです。蛭がめちゃくちゃ多いです。

林道はしんどくなっています。

 葛生は三畳紀コノドントの聖地だけあって。先行研究も多いのです。

誰かが調査した痕跡です。

 この奇妙な石から、奇妙なコノドントが出るそうです。詳しくは追々。

石灰岩の礫岩ですねぇ。チャートのようなもの(黒い部分)も入っています。

 さすが聖地。



 しかし、何となく石灰鉱山を見ると落ち着きますね。
先ほどの鉱山、別角度から。

 そして、こちらの葛生sky treeも。
パイプだらけのsky treeです。

 時々ライトアップされています。


 
 ところで、さらに西へ進み群馬の方まで行ったところこんなお土産をゲットしました。
ルーペを通して撮影しています。

 わからん?

なかなか撮影が難しいです。

 これでどうでしょう。

 もう一つ。

上とは別種のようです。

 コノドントですね。


 セブンイレブンのWi-Fiでつなげているので、雑ですがこの辺りで。

 それでは、ごきげんよう。さようなら。

2017年6月2日金曜日

週刊葛生 第六十七号 春の京北調査編

 みなさんこんばんは。博士2年のMです。

 先週まで更新が滞っていましたが、調査とか行ってたんです。GWの間は、京都西北部の京北地域に行っていました。

 そう、昨年の11月に行っていた、あれです。


 次回作の予定も詰まっているので、今回一回で紹介します。写真多めです。


 調査には京都駅からレンタカーで向かいます。既に荷物の量が。。。。


ホンダフィットは意外と広く、2人分の大荷物と調査用具が入ります。


 昨年も行った荒れた林道を行きますが、さらに走りづらくなっており、通るのにも工事が必要です。大雪の影響かな?


轍が深く、底を擦るので真ん中を掘って轍を埋めます。

 研究費不足でコストカットしているため、毎日自炊です。毎晩若干のイベント気分。
焚き火&調理です!

 日が進んで行くとサンプルが積まれたり調査用具が散らかったり薪が積まれたりして車内は更なる混迷を極めます。


イヤぁ、本当にフィットは意外と広いですね。

 調査ですが、ほとんどの時間は地層の地質構造を明らかにするために露出を改善する作業をしていました。要するに工事です。


施行前。
施工後。よく見えますね!!

 このような露出が不十分な地域では、工事無くして地質構造の把握はあり得ません。これがあって初めて、その後やる地球史の研究が可能になるのです。


 夜は焚き火で濡れた靴を乾かします。山はまだ朝寒いですからね。


遊びで焚き火している訳ではないんですよ?

 地元の方に夕食に誘って頂いた日もありました。何ともありがたいことです。


たいへんおいしい鹿肉料理を頂きました。

 ところで、荒れた林道を走っていると、当然予想していたことではありますが、トラブルが起きます。


!!

 ぺしゃんこですね。ダート道を10 km/h以上出すのは危ないようです。この時は、パンク地点から電波が入らなかったので、戦車レンタカーを放棄して林道を3 kmほど歩き、地元の方に軽トラを貸してもらってようやくロードサービスを呼びました。


 何とも大変な感じですが、ロードサービスを待っている間に知り合った地元の方にイノシシのリブを頂いたりしました。


イノシシのスペアリブです!

 一概にパンクも悪いことばかりではないですね!


 それにしても、良い季節に来ました。

 新緑が美しいです。


下流は植林ですが、上流の方は天然林で新緑が奇麗です。

 岩石試料の発送のために途中に寄った郵便局では、八重桜が見事でした。


何とも優雅です。

 しかし、こんな優雅さとは裏腹に、さすがにずっとテント泊と過酷な工事が続くと疲弊してきます。


昼食時にやさぐれる労働者。

 そんなしんどさを癒してくれるところも、露頭の近くにはありました。


京北地域上弓削のカモノセキャビン。コーヒーをおごって頂きました。

 もう、地元の方々様々です。


 最終夜には、毎晩恒例の焚き火で、苔剥がしに大活躍しつつも殉職した金ブラシを燃やしました。今までありがとう!なにげに一番古いやつは3年半前の卒論の時からの付き合いでした。


写真の下の方で戦死した戦友の遺骸が燃えつつあります。

 そして、建設途中の小屋を宿泊に貸してくださった芦見谷芸術の森の方々、我々の無茶な進軍につきあってくれたレンタカー君、本当にありがとうございました。


奥の小屋に寝袋で停まらせて頂きました。手前は一緒に頑張った車。

 最終日の後片付けも大混迷を極めます。


誰もいないのを良いことにスーパーの駐車場で荷造り中です。

 さらに帰りの電車の乗り継ぎ中も休む間はありません。まあ、しょうがないですね。仕事ですから。


ノートに記載したデータを整理しています。




 次回は、久々の聖地登場です。乞うご期待。

 それでは、ごきげんよう。さようなら。