皆様お久しぶりです。D1の烏田です。
今日から多田高橋研究室の多田先生、杉崎さん、私は高知のコアセンターにて
IODP Exp.346 Asian Monsoon向けのプレクルーズトレーニングに参加しています。
IODP(Integrated Ocean Drilling Program)Exp.346の詳細については下記のHPを参照してもらえるとよろしいのですが、
今年の7月29日から9月28日にかけて日本海+東シナ海にてJOIDES Resolution(以下JR)というアメリカの研究船を使って大規模掘削を行う国際プロジェクトです。
http://iodp.tamu.edu/scienceops/expeditions/asian_monsoon.html
co-chief(乗船研究者のリーダーの1人)として多田先生が乗船される他、乗船研究者として多田研究室関係者はOBの入野先生、杉崎さん、OGの久保田さん、私が参加することになっています。
今回のプレクルーズトレーニングは、これまでにJRにおける掘削時作業の話を実際に参加された研究者から聞いたり、かつて日本海で採取されたコアを観察などを乗船前に行うことで来月から始まる掘削時の活動レベルを高めようという目的で開催されています。
一日目の今日は、まずJRで行われる堆積物の回収から船上分析、保管までの流れ、そして研究者が船上で行うべきことについて座学で学びました。今回のExp.では堆積物をトータルで6km以上取得するという予定のため、船上では12時間2シフト制で休む事なく非常にシステマチックな形でコアの観察や船上分析を続けることになっています。
海底堆積物掘削を一度も体験したことのない自分にとっては、今日の座学は学ぶことが多すぎてまだまとめきれていません。このブログ書き終えたら今日得た知識を整理して明日に望む予定です。
そして明日はODP leg127で1989年に採取された日本海の様々な堆積物を実際に観察して来月の航海に備える予定です。
今年四月に出版された多田先生の本の表紙に日本海の堆積物が使われるなど、1989年のODP leg127に参加されてから多田先生を魅了して止まない日本海の堆積物を実際に見られるということで個人的にとても楽しみにしています。
では。
(明日のトレーニングに向けて英気を養い中)
2013年6月26日水曜日
2012年10月25日木曜日
表層セミナー:OSL年代測定
前処理の待ち時間30分を使って簡単に。
毎週木曜日は多田、高橋研が参加する表層セミナーが開催される曜日なのですが、
今日は発表者が二人共多田、高橋研関係者でした。
一人目は水月の分析で頑張っているM1の鈴木君。
今日の彼の発表は卒論で研究を行った長江上流域の侵食速度とその制御要因の推定に関係する古い論文
Geomorphic/Tectonic Control of Sediment Discharge to the Ocean: The
Importance of Small Mountainous Rivers
に関するレビューを行ってくれました。
これは侵食速度と侵食速度に関わる要因を現世の川のデータ(堆積物流出量、河川流出量、流域面積、後背地高度)から推測するという論文でした。
侵食という過程は地球上では主に河川(水)or氷によって行われる誰もが知っているような当たり前の過程なのですが、侵食強度関係する要因が沢山ありどの要因が支配的であるかを決めるのが大変難しい地球のシステムです。
この侵食過程について
流域面積と単位面積あたりの侵食速度が負の相関を持つ事から
「流域面積が広い河川では気候や後背地地質による影響を受けにくいこと」
「流域面積の狭い河川では逆に気候や後背地地質による影響を受けやすい」
などという考察を行っていることを紹介していました。
(現在ではさらに詳しい研究が行われていることに注意する必要があります。)
そして二人目は先日の記事で紹介したポスドクの杉崎さん。
彼女はドクターで行われた石英を用いたOSL(光ルミネッセンス)法による精密年代測定に関する研究について主にオホーツク海のコアをケーススタディとした用いた話をされました。
毎週木曜日は多田、高橋研が参加する表層セミナーが開催される曜日なのですが、
今日は発表者が二人共多田、高橋研関係者でした。
一人目は水月の分析で頑張っているM1の鈴木君。
今日の彼の発表は卒論で研究を行った長江上流域の侵食速度とその制御要因の推定に関係する古い論文
Geomorphic/Tectonic Control of Sediment Discharge to the Ocean: The
Importance of Small Mountainous Rivers
に関するレビューを行ってくれました。
これは侵食速度と侵食速度に関わる要因を現世の川のデータ(堆積物流出量、河川流出量、流域面積、後背地高度)から推測するという論文でした。
侵食という過程は地球上では主に河川(水)or氷によって行われる誰もが知っているような当たり前の過程なのですが、侵食強度関係する要因が沢山ありどの要因が支配的であるかを決めるのが大変難しい地球のシステムです。
この侵食過程について
流域面積と単位面積あたりの侵食速度が負の相関を持つ事から
「流域面積が広い河川では気候や後背地地質による影響を受けにくいこと」
「流域面積の狭い河川では逆に気候や後背地地質による影響を受けやすい」
などという考察を行っていることを紹介していました。
(現在ではさらに詳しい研究が行われていることに注意する必要があります。)
そして二人目は先日の記事で紹介したポスドクの杉崎さん。
彼女はドクターで行われた石英を用いたOSL(光ルミネッセンス)法による精密年代測定に関する研究について主にオホーツク海のコアをケーススタディとした用いた話をされました。
あくまでも石英の供給源推定の研究を行っている自分の目から見た感想ではありますが、
海洋堆積物の精密年代決定に用いられる14C年代に比べて海洋のリザーバー効果を見積もる必要がないのがメリットでありますが、「海洋堆積物中の石英粒子がいつ太陽光の元にさらされて堆積したか」をしっかり吟味を行わなければならない点が重要な手法であると感じました。
杉崎さんの発表の中ではこの吟味しなければならない部分をさらにこれから調べてしっかりとしたOSLの手法を確立しようということで自分が行っている手法と結構似ている部分が結構あってすごく興味をひかれました。
彼女の発表が終わった後はごく簡単にセミナーの歓迎会が行われて
現在ちょっと酔っぱらいという状況です。(その模様を写した写真取るのまたしても忘れました)
ではでは。サンプルの前処理に戻ろうっと。
2012年10月19日金曜日
NHKニュース
ラベル機能というものを初めて知りまして自己紹介する必要のなくなったものです。
今日朝に多田高橋研にとってビッグニュースが流れましたね!!
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121019/k10015855131000.html
いやー噂では全国ネットのニュースになるという話は聞いていたのですが、
ここまでちゃんとした形で中川先生グループのSG06に関する研究が
とりあげられるとは思っていませんでした。
前のブログの記事を見て頂くと分かりますが
今回は色々な方が非常に長い年月と苦労を重ねた上での成果なので
第三者ではありますが非常に嬉しいですね。
このようなすばらしい研究が行われた水月湖のコアですが、
現在この水月湖のコアを中川先生グループより所持している研究室があります。
うちの研究室です!!
この7月に水月湖で掘削を行いサンプリングをしたのだから
当然じゃねーかというとそれまですが(笑)、
中川先生監修の元で掘削を行いすばらしい研究が行われたSG06と同じクオリティで
取られたサンプルという付加価値がつきますので非常に貴重なサンプルなのです。
じゃあこのサンプル達は今どうなっているんだというと
現在うちの研究室M1の鈴木君、JAMSTECの長島さん
そして今週から多田高橋研究室にポスドクとして赴任してこられた
杉崎彩子さんが中心となってサンプリングが行われています。
彼らがサンプリングを行っているのは湖底直下の堆積物。
湖底直下の堆積物は近年に堆積しているので、現代の観測記録との対応関係をつけることが可能な非常に重要なサンプルです。
しかし堆積してから年代が経っていないためにまだ堆積物が非常にやわらかくサンプリングが非常にやっかいなため今3人かかりで作業をしている最中です。
10月の後半にはこの一部サンプルの測定を始めるらしいので個人的には非常に結果を楽しみにしています。
いやぁホントすばらしいサンプルなのでもしもう一人の自分がいたら絶対相方にこのサンプルやらせるんだけどなぁ。。
私の代わりにやってくれる人材を大募集中です。
今日朝に多田高橋研にとってビッグニュースが流れましたね!!
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121019/k10015855131000.html
いやー噂では全国ネットのニュースになるという話は聞いていたのですが、
ここまでちゃんとした形で中川先生グループのSG06に関する研究が
とりあげられるとは思っていませんでした。
前のブログの記事を見て頂くと分かりますが
今回は色々な方が非常に長い年月と苦労を重ねた上での成果なので
第三者ではありますが非常に嬉しいですね。
このようなすばらしい研究が行われた水月湖のコアですが、
現在この水月湖のコアを中川先生グループより所持している研究室があります。
うちの研究室です!!
この7月に水月湖で掘削を行いサンプリングをしたのだから
当然じゃねーかというとそれまですが(笑)、
中川先生監修の元で掘削を行いすばらしい研究が行われたSG06と同じクオリティで
取られたサンプルという付加価値がつきますので非常に貴重なサンプルなのです。
じゃあこのサンプル達は今どうなっているんだというと
現在うちの研究室M1の鈴木君、JAMSTECの長島さん
そして今週から多田高橋研究室にポスドクとして赴任してこられた
杉崎彩子さんが中心となってサンプリングが行われています。
彼らがサンプリングを行っているのは湖底直下の堆積物。
湖底直下の堆積物は近年に堆積しているので、現代の観測記録との対応関係をつけることが可能な非常に重要なサンプルです。
しかし堆積してから年代が経っていないためにまだ堆積物が非常にやわらかくサンプリングが非常にやっかいなため今3人かかりで作業をしている最中です。
10月の後半にはこの一部サンプルの測定を始めるらしいので個人的には非常に結果を楽しみにしています。
いやぁホントすばらしいサンプルなのでもしもう一人の自分がいたら絶対相方にこのサンプルやらせるんだけどなぁ。。
私の代わりにやってくれる人材を大募集中です。
2012年8月24日金曜日
水月湖掘削終了
皆様ほぼ2週間ぶりです。烏田です。
投稿頻度は自分の忙しさと逆相関なので、
カラスダは忙しかったんだなーと思って頂けると幸いです。
そして忙しかった理由の一つは
水月湖の掘削が無事に終了し、そのお片づけに追われていたことにあります。。
お伝えが遅くなりましたが、改めまして
7/5日から始まりました水月湖での掘削が8/11をもちまして無事に終了しました!!
そして当初の多田先生が計画された
「湖底下40mの堆積物をSG06と同じクオリティで完全連続採取を行う」
という目標につきましても、
中川先生監修の元、M1の鈴木君のSG06との対比作業により無事に達成されました!
この裏では最終日に西部試錐さんのご好意でエクストラでコアを採取して頂き、そのコアの対比作業によって真の意味で完全連続試料が採取できた背景があります。
今回の掘削については私は今年の2月から本格的に準備に携わり始め唯一の全日程参加という本当に現場の最前線にいさせて頂きましたが、
特に掘削が始まってからは共同研究者の人達や、若狭町縄文博物館の方々、そして掘削業者さんである西部試錐さんなど本当に多くの人達の努力と労力と助けの元でこの計画が無事に完遂(分析はこれからですが・・)できたことを強く実感しております。
実をいうと私はこの水月湖の掘削にはアルバイトという形で参加しており、最初は「まぁアルバイトだから・・」という弱冠引いた立場でいました。
しかし水月湖の掘削が近づくにつれて、どんどんのめり込んでしまい最終的には多田先生に
「あなたの研究は水月湖ではないからこれ以上のめり込むな」
というおしかりのメールが来る程にのめり込んでしまいました(笑)
水月湖の掘削が終了してから自分がなぜここまでのめり込んでしまったのか改めて考えていたのですが、
①世界最前線のクオリティで研究を進められている中川先生の研究姿勢を直に体験することができたこと
②実際に堆積物を見ながらサイエンスとしてとても面白い話題に常に触れられることができたこと
③多くの人達が集まって協力をして一つの目標に向かって作業を行う体験ができたこと
の三つが大きかったのかなと感じています。
特に③については掘削前には想像もつかない程重要で貴重な体験ができました。
その中でのめり込んだ一番の理由は③の体験の中で「ここまで色んな方の助けがあって水月湖の掘削が進んでいるから、絶対に成功させなければならない!」という気持ちが一番強かった気がします。
自分はこれにて水月湖に大きく関わることがなくなりますが、自分のこれからの研究生活で今回の体験を活かしていきたいと思いますしここでの体験をきちんと伝えていきたいと思っています。
皆様本当にありがとうございました。
現在水月湖で採取されたサンプルは東大でこのような形で保存されており、これからM1の鈴木君やJAMSTECの長島さんを筆頭に分析がこれから進んでいきます。
分析によって新たに面白いことが分かりましたら彼ら自身に紹介してもらったり自分がブログで紹介できたらと思います。
では最後に多田先生お気に入りの写真で締めたいと思います。ちなみに私は2を描いています(笑)
投稿頻度は自分の忙しさと逆相関なので、
カラスダは忙しかったんだなーと思って頂けると幸いです。
そして忙しかった理由の一つは
水月湖の掘削が無事に終了し、そのお片づけに追われていたことにあります。。
お伝えが遅くなりましたが、改めまして
7/5日から始まりました水月湖での掘削が8/11をもちまして無事に終了しました!!
そして当初の多田先生が計画された
「湖底下40mの堆積物をSG06と同じクオリティで完全連続採取を行う」
という目標につきましても、
中川先生監修の元、M1の鈴木君のSG06との対比作業により無事に達成されました!
この裏では最終日に西部試錐さんのご好意でエクストラでコアを採取して頂き、そのコアの対比作業によって真の意味で完全連続試料が採取できた背景があります。
今回の掘削については私は今年の2月から本格的に準備に携わり始め唯一の全日程参加という本当に現場の最前線にいさせて頂きましたが、
特に掘削が始まってからは共同研究者の人達や、若狭町縄文博物館の方々、そして掘削業者さんである西部試錐さんなど本当に多くの人達の努力と労力と助けの元でこの計画が無事に完遂(分析はこれからですが・・)できたことを強く実感しております。
実をいうと私はこの水月湖の掘削にはアルバイトという形で参加しており、最初は「まぁアルバイトだから・・」という弱冠引いた立場でいました。
しかし水月湖の掘削が近づくにつれて、どんどんのめり込んでしまい最終的には多田先生に
「あなたの研究は水月湖ではないからこれ以上のめり込むな」
というおしかりのメールが来る程にのめり込んでしまいました(笑)
水月湖の掘削が終了してから自分がなぜここまでのめり込んでしまったのか改めて考えていたのですが、
①世界最前線のクオリティで研究を進められている中川先生の研究姿勢を直に体験することができたこと
②実際に堆積物を見ながらサイエンスとしてとても面白い話題に常に触れられることができたこと
③多くの人達が集まって協力をして一つの目標に向かって作業を行う体験ができたこと
の三つが大きかったのかなと感じています。
特に③については掘削前には想像もつかない程重要で貴重な体験ができました。
その中でのめり込んだ一番の理由は③の体験の中で「ここまで色んな方の助けがあって水月湖の掘削が進んでいるから、絶対に成功させなければならない!」という気持ちが一番強かった気がします。
自分はこれにて水月湖に大きく関わることがなくなりますが、自分のこれからの研究生活で今回の体験を活かしていきたいと思いますしここでの体験をきちんと伝えていきたいと思っています。
皆様本当にありがとうございました。
現在水月湖で採取されたサンプルは東大でこのような形で保存されており、これからM1の鈴木君やJAMSTECの長島さんを筆頭に分析がこれから進んでいきます。
分析によって新たに面白いことが分かりましたら彼ら自身に紹介してもらったり自分がブログで紹介できたらと思います。
では最後に多田先生お気に入りの写真で締めたいと思います。ちなみに私は2を描いています(笑)
2012年8月10日金曜日
水月湖の先行研究(2)-SG06
みなさんおはようございます。
烏田でございます。
やはり終盤に近くなると疲れが出て来ますね。
自分もブログを更新しようとする前についつい寝てしまうことが多いです。
では前回からの続きを書きたいと思います。
前回までは水月湖でのSG06に至る所まで話しました。
今回はSG12にも参加して下さっている中川先生が行われた2006年の掘削に焦点を当てます。
まず中川先生は前回のコアで得られた結果について2つの問題点(1:放射性炭素, 2:コアの欠損)を考えました。
そして 2: コアの欠損 に非常に大きな問題があるとの結論に辿り着きました。
堆積物のコア採取をやられた事ない方には分からないと思いますが(自分もこちらに来るまで知らなかった・・)湖や海などで堆積物を連続採取時にどうしても欠損が生じてしまうのです。
これは堆積物を取り上げる時に真空が発生してしまうことが原因となっています。
ヘタクソな図ではありますが、 引き上げ時に元堆積物があったスペースが空洞になって真空が発生します。この真空発生は今回の掘削を行われた西部試錐さんも掘削中に真空の発生を抑える方法を色々試されるように掘削時には免れません。
そしてこの真空の悪い所は路肩や直下の堆積物を乱してしまうことにあります。そのため連続的な試料を取ることがこれまでかないませんでした。
この大きな問題に対して、中川先生はあるアプローチを試みました。
それは「掘削深度を微妙にずらしたコアを同じ箇所で複数本回収する」というものでした。
コンセプトとしては欠損部分を他のコアを使うことで補うというものです。
これには水月湖の堆積物に年縞があること、また多数の洪水や地震によると思われる特徴的なイベント層が多数あるため、異なるコアの対比が容易であることも利用しての方法です。
上の画像は(Nakagawa, 2012)からの一部抜粋でSG06で行われた実際のコア対比例になります。違うコアでも白いいくつかのイベント層が綺麗に揃うことが分かると思います。
そしてこの作業を延々と繰り返すことによってSG06では70m以上におよぶ完全連続層序を実現しました!
今回の掘削(SG12)では40m程度の掘削を行っているのですが、この対比が非常にやっかいです。。
今回は中川先生の指導の元M1の鈴木君がこの比較作業をしていましたが、掘削時は常に堆積物と向き合って堆積物の記載を行い、ホテルに帰っても比較とコアの連続性の確認を行っていました。本当にすごい作業量です。
さらに中川先生達はこのSG06にて年縞数えについても
堆積物薄片による目視でのカウントとXRFスキャナーによる化学的な年縞カウントの2つの方法を用いて改めて厳密に測定を行われました。
数は7万枚。。はてしなく遠い数ですが、このSG06ではこの年縞の数えが本当に行われました。
さらにさらに中川先生達は前回の問題点である放射性炭素年代についても、一つ一つの機械による誤差をなくすために2つの研究室測定を行いました。
数は合計800箇所以上(前回の3倍以上のデータ数)。
まさに狂っていると言ってもいいレベルの数の測定をされました。
このクレイジーな精度で行われたSG06の結果は見事先月(7/13日)に世界に認められて、
来年から使用される放射性炭素年代の較正データ(Intcal)に正式に採用されることが決定しました!!!
そしてこのデータには前回認められなかった北川先生のデータも含まれています。これは中川先生が丹念にSG06と北川先生のコアの比較を行われた結果です。
実はこのニュースは水月の掘削作業時に聞かされたのですが、本当にその時の中川先生の表情が忘れられません。実は中川先生は93年の掘削時に学生として参加されており、関わり始めて実に20年近くの時が立って遂に水月湖のすばらしさが認められたことになります。
あの表情は研究生活が数年も経っていない自分には想像できない色々な感情があったのだと思います。
こうして見事に前回のリベンジを果たして世界に認められた水月湖の堆積物ですが、この世界に認められたことで非常に強いアドバンテージを持ちました。
それは水月湖の堆積物が「地質時代の時代決定基準」になったということです。
これがどれほどの強さかというと例えるならばイギリスのグリニッジ天文台(世界の時計の標準地)が水月湖に来たと言っても過言ではありません。
古気候研究は簡潔に言えば「どこで」「いつ」「何が」起きたかを知る研究です。
そして他の研究との比較の際「いつ」が常に問題になる学問であります。
この「いつ」の基準が水月湖になったのですからこのアドバンテージについて少しはお分かり頂けましたでしょうか?
このアドバンテージの重要性に気付き、さらに水月湖の研究を発展をさせたいというのが今回SG12の位置づけになります。ではこのSG12で何をやるのかについてはまた次回ということにしましょう。
ではでは。
烏田でございます。
やはり終盤に近くなると疲れが出て来ますね。
自分もブログを更新しようとする前についつい寝てしまうことが多いです。
では前回からの続きを書きたいと思います。
前回までは水月湖でのSG06に至る所まで話しました。
今回はSG12にも参加して下さっている中川先生が行われた2006年の掘削に焦点を当てます。
まず中川先生は前回のコアで得られた結果について2つの問題点(1:放射性炭素, 2:コアの欠損)を考えました。
そして 2: コアの欠損 に非常に大きな問題があるとの結論に辿り着きました。
堆積物のコア採取をやられた事ない方には分からないと思いますが(自分もこちらに来るまで知らなかった・・)湖や海などで堆積物を連続採取時にどうしても欠損が生じてしまうのです。
これは堆積物を取り上げる時に真空が発生してしまうことが原因となっています。
ヘタクソな図ではありますが、 引き上げ時に元堆積物があったスペースが空洞になって真空が発生します。この真空発生は今回の掘削を行われた西部試錐さんも掘削中に真空の発生を抑える方法を色々試されるように掘削時には免れません。
そしてこの真空の悪い所は路肩や直下の堆積物を乱してしまうことにあります。そのため連続的な試料を取ることがこれまでかないませんでした。
この大きな問題に対して、中川先生はあるアプローチを試みました。
それは「掘削深度を微妙にずらしたコアを同じ箇所で複数本回収する」というものでした。
コンセプトとしては欠損部分を他のコアを使うことで補うというものです。
これには水月湖の堆積物に年縞があること、また多数の洪水や地震によると思われる特徴的なイベント層が多数あるため、異なるコアの対比が容易であることも利用しての方法です。
上の画像は(Nakagawa, 2012)からの一部抜粋でSG06で行われた実際のコア対比例になります。違うコアでも白いいくつかのイベント層が綺麗に揃うことが分かると思います。

今回の掘削(SG12)では40m程度の掘削を行っているのですが、この対比が非常にやっかいです。。
今回は中川先生の指導の元M1の鈴木君がこの比較作業をしていましたが、掘削時は常に堆積物と向き合って堆積物の記載を行い、ホテルに帰っても比較とコアの連続性の確認を行っていました。本当にすごい作業量です。
さらに中川先生達はこのSG06にて年縞数えについても
堆積物薄片による目視でのカウントとXRFスキャナーによる化学的な年縞カウントの2つの方法を用いて改めて厳密に測定を行われました。
数は7万枚。。はてしなく遠い数ですが、このSG06ではこの年縞の数えが本当に行われました。
さらにさらに中川先生達は前回の問題点である放射性炭素年代についても、一つ一つの機械による誤差をなくすために2つの研究室測定を行いました。
数は合計800箇所以上(前回の3倍以上のデータ数)。
まさに狂っていると言ってもいいレベルの数の測定をされました。
このクレイジーな精度で行われたSG06の結果は見事先月(7/13日)に世界に認められて、
来年から使用される放射性炭素年代の較正データ(Intcal)に正式に採用されることが決定しました!!!
そしてこのデータには前回認められなかった北川先生のデータも含まれています。これは中川先生が丹念にSG06と北川先生のコアの比較を行われた結果です。
実はこのニュースは水月の掘削作業時に聞かされたのですが、本当にその時の中川先生の表情が忘れられません。実は中川先生は93年の掘削時に学生として参加されており、関わり始めて実に20年近くの時が立って遂に水月湖のすばらしさが認められたことになります。
あの表情は研究生活が数年も経っていない自分には想像できない色々な感情があったのだと思います。
こうして見事に前回のリベンジを果たして世界に認められた水月湖の堆積物ですが、この世界に認められたことで非常に強いアドバンテージを持ちました。
それは水月湖の堆積物が「地質時代の時代決定基準」になったということです。
これがどれほどの強さかというと例えるならばイギリスのグリニッジ天文台(世界の時計の標準地)が水月湖に来たと言っても過言ではありません。
古気候研究は簡潔に言えば「どこで」「いつ」「何が」起きたかを知る研究です。
そして他の研究との比較の際「いつ」が常に問題になる学問であります。
この「いつ」の基準が水月湖になったのですからこのアドバンテージについて少しはお分かり頂けましたでしょうか?
このアドバンテージの重要性に気付き、さらに水月湖の研究を発展をさせたいというのが今回SG12の位置づけになります。ではこのSG12で何をやるのかについてはまた次回ということにしましょう。
ではでは。
2012年7月17日火曜日
ツアーと取材
どうも。自己紹介をするのもめんどくさくなってきた烏田です。
誰か他に記事書いてくれんかなー。特にS君とか。
今日は海の日ということで通常ならお休みなのですが、今日は私達は作業をしていました。
訳はこれ。
昨日食いそびれたうなぎ食いたい。
誰か他に記事書いてくれんかなー。特にS君とか。
今日は海の日ということで通常ならお休みなのですが、今日は私達は作業をしていました。
訳はこれ。
今日は今回の掘削で大変お世話になっている若狭三方縄文博物館の主催で今回の掘削に関する見学ツアーがあったんです。
若い人達はサンプリングの作業をずっとやっていたのですが、先生達は一般の方への説明を頑張られておられました。
そしてツアーと一緒にテレビの取材陣が・・・
福井のローカルネットのテレビの取材だそうです。
もう既に今日の6:15頃からのニュースで今回の模様が放映されたそうです。
ちょうど今日の片付けの時間と重なって見れなかったのが残念。。
こんな形で注目を集めるのはめったにないので個人的にはすごく心落ち着かない一日でした。
このツアーはもう一度開かれるらしく、8/5には2006年の水月湖掘削の代表の中川先生と今年の水月湖掘削の代表の多田先生の講演会があるそうなので福井まで来られるかたがおられましたらぜひとも。
でも実はすでに結構ニュースになっているんですよね。。
新聞では二件。
これも2006年、そして過去の研究があってこそだと思います。
水月湖の研究の発端は先ほど述べた縄文博物館が建てられた理由でもある一つの貝塚の研究。
名前は鳥浜貝塚。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B3%A5%E6%B5%9C%E8%B2%9D%E5%A1%9A
日本の縄文時代の研究では大きな成果を上げている貝塚の一つです。
この鳥浜貝塚の研究で当時の環境の復元のために鳥浜貝塚の近くにある
三方五湖の内まず三方湖の掘削が行われ、さらに水月湖の掘削が行われたことで年縞堆積物が見つかり現在の研究へとつながります。
(上の地図のAが水月湖。南にあるのが三方湖です。鳥浜貝塚は三方駅と三方湖の間にだいたい位置します。)
この話を始めると長くなるので今日はここまで。
またの機会にこの話の続きを書きましょう。
正直今日は猛暑でバテバテなんで。明日もハードそうだ。。
昨日食いそびれたうなぎ食いたい。
2012年4月20日金曜日
4/19表層セミナー
今日は木曜日なので表層セミナー開催日。
発表者は茅根研のD2井上さんとうちのラボの久保田さん。
セミナーは毎回二人が発表を行うのですが、新年度の最初はドクターの方が
「基礎講座」を行っています。
この基礎講座は新たに入るM1に研究の基礎知識を知ってもらうために開かれています。
表層セミナーは研究手法や分野がホントに多彩で自分と全く対象、手法の違う人がいるので少しでも他の人の研究を理解をしてもらうためでもあります。
今日の発表は二人とも基礎講座でした。
内容は井上さんが「サンゴ」久保田さんが「東アジアモンスーン」
「サンゴ」と言っても色々な視点から研究は行われています。
井上さんはまずサンゴ内での褐虫藻との共生関係について
生化学的なアプローチでの説明(光合成とサンゴの骨格(CaCo3)形成までの流れ)から始まり
最終的にはサンゴ礁形成の過程(主に地形学の視点から)についてまで説明が行われました。
途中サンゴ骨格の形成過程での同位体分別の話からサンゴ骨格を用いた古水温復元の話に飛び、茅根研の研究員である中村さんが飛び入りで講義というハプニング(笑)も。
次に発表された久保田さんは 一転変わり気候の話。
まず世界における気候の季節性を確認してその駆動要因(主に海と陸の熱容量の違い)を説明してから現在の大陸、海洋の配置によって現在の世界気候の季節性が説明できることを改めて確認。
その後ユーラシア大陸(チベット高原等も含め)によってアジア地域に大規模なモンスーン(季節風)が駆動されており、この中の夏の東アジアモンスーン(日本だと梅雨などに該当)がどのような位置づけになるかを説明。
そして観測結果によりこの夏の東アジアモンスーンの指標がいくつか提唱されてはいるけど、現在の段階だとどれも1長1短であること。
最後に東アジアモンスーンが周りの地域の気候要素(偏西風やインドの海水温など)に影響を受けており、例として冬の東アジアモンスーンとENSO((El Nino Southern Oscillation(エルニーニョ・南方振動))に相関があることを説明されました。
発表はこのような感じでした。
来週は別のドクターの方が全く別の話題で基礎講座をやられるので
こうご期待!
(それまでにこの講座を消化しないとね。。シュクダイガ......)
2012年4月15日日曜日
新年度初セミナー
どうも。新年度になりましたね。
私の院生部屋にも新たに新入生がやってきました。
これでやっと居室の下っ端脱出です。
そして新年度初めての表層セミナーが水曜日にですが執り行われました。
表層セミナーはごく簡単に説明すると私達の研究室が所属しているセミナーで、
同じシステム科学講座の茅根研究室、新領域の田近研究室と合同で行っています。
私達の研究室内でさえ年代スケールが現在~2億5000万年前、研究手法もばらばらですが、
表層セミナーではそれがさらに拍車がかかっています。
そのため他の研究分野に常に触れることができとても勉強になります。
今回は新年度初めのセミナーということでセミナーのガイダンスと
新入生の自己紹介を兼ねた卒業研究発表。
卒業研究発表は自分がなぜが座長になってしまい大変だったので撮り忘れましたが、
6時20分頃終了予定が7時前に伸びてしまうなどとても盛況になりました。
そしてこのセミナーが終わった後はお決まりの。。。
そう。歓迎会です。
途中まで自分が楽しんでたので、結構時間が経ってますが雰囲気は分かって頂けるかと思います。
(人気者のA君の話を真剣に聞くドクターと新M1の図)
自分は途中(といっても10時半ぐらいですが)で抜けたので
最終的にどうなったのかが分かりませんが、
聞いた話によると11時過ぎまでやっていたとか。盛り上がって何よりです。
今年表層セミナーに新たに入って来たのは5人(6人になる可能性もあり)
これから楽しくやっていければいいですね。
そしてこの飲み会の話で「表層セミナーを一回柏キャンパスで行おう」となりました。
現在そちらを進めており、6月開催に向けて少しづつ動いています。
開催したらこの模様も記事にしますね。
では。今度は新入生の紹介か新たにうちのラボに納入された実験機器の紹介かなぁ。。。
私の院生部屋にも新たに新入生がやってきました。
これでやっと居室の下っ端脱出です。
そして新年度初めての表層セミナーが水曜日にですが執り行われました。
表層セミナーはごく簡単に説明すると私達の研究室が所属しているセミナーで、
同じシステム科学講座の茅根研究室、新領域の田近研究室と合同で行っています。
私達の研究室内でさえ年代スケールが現在~2億5000万年前、研究手法もばらばらですが、
表層セミナーではそれがさらに拍車がかかっています。
そのため他の研究分野に常に触れることができとても勉強になります。
今回は新年度初めのセミナーということでセミナーのガイダンスと
新入生の自己紹介を兼ねた卒業研究発表。
卒業研究発表は自分がなぜが座長になってしまい大変だったので撮り忘れましたが、
6時20分頃終了予定が7時前に伸びてしまうなどとても盛況になりました。
そしてこのセミナーが終わった後はお決まりの。。。
そう。歓迎会です。
途中まで自分が楽しんでたので、結構時間が経ってますが雰囲気は分かって頂けるかと思います。
(人気者のA君の話を真剣に聞くドクターと新M1の図)
自分は途中(といっても10時半ぐらいですが)で抜けたので
最終的にどうなったのかが分かりませんが、
聞いた話によると11時過ぎまでやっていたとか。盛り上がって何よりです。
今年表層セミナーに新たに入って来たのは5人(6人になる可能性もあり)
これから楽しくやっていければいいですね。
そしてこの飲み会の話で「表層セミナーを一回柏キャンパスで行おう」となりました。
現在そちらを進めており、6月開催に向けて少しづつ動いています。
開催したらこの模様も記事にしますね。
では。今度は新入生の紹介か新たにうちのラボに納入された実験機器の紹介かなぁ。。。
2012年3月29日木曜日
年度最後のランチミーティングと・・・
初投稿になります。多田研M2の烏田です。
今日は今年度最後のランチミーティング。
今年度末は大規模な測定機器が入ったり(これは後々ブログに載せますね。)
いつも以上にどたばたしていましたが、
なんとか無事に終えることができました。
そしていつも通りに終了となった所で・・
明日が多田先生の誕生日ということで秘書の杉原さんが
お手製のシフォンケーキを作って来て下さいました!
バースデーケーキですので火をつけて・・
そして・・
さすがにこの歳なので歌はありませんでしたが、
この後ラボの人達みんなでおいしく頂きました。
杉原さんのお話によると今回は健康に気をつけてる
多田先生のことを考えて青汁を入れたそうです。
(写真でも少しケーキが緑かかっているのがお分かりでしょうか?)
青汁?と思いの人もいるかと思いますが、ふわふわでとてもおいしかったです。
ほとんどの人がおかわりをして一瞬でケーキが消えてしまいました。
このケーキパーティーの与太話としては
杉原さんがカット用にお持ちになった電動ナイフ?が好評でした。
(参考アドレス)
http://www.amazon.co.jp/%E9%9B%BB%E5%8B%95%E3%83%8A%E3%82%A4%E3%83%95-Decker-9-Inch-Electric-Carving/dp/B004P14Y5M/ref=sr_1_3?ie=UTF8&qid=1333023900&sr=8-3
パンなど柔らかいものを切るのに非常に便利だということで、
多田先生が非常に興味を持っておられました(主に堆積物コアを切る目的で)
明後日で3月が終わり、いよいよ新年度になります。
新しいメンバーも迎えることですし、
また面白いことがあればその都度更新ができればと考えております。
それでは!
今日は今年度最後のランチミーティング。
今年度末は大規模な測定機器が入ったり(これは後々ブログに載せますね。)
いつも以上にどたばたしていましたが、
なんとか無事に終えることができました。
そしていつも通りに終了となった所で・・
明日が多田先生の誕生日ということで秘書の杉原さんが
お手製のシフォンケーキを作って来て下さいました!
バースデーケーキですので火をつけて・・
そして・・
さすがにこの歳なので歌はありませんでしたが、
この後ラボの人達みんなでおいしく頂きました。
杉原さんのお話によると今回は健康に気をつけてる
多田先生のことを考えて青汁を入れたそうです。
(写真でも少しケーキが緑かかっているのがお分かりでしょうか?)
青汁?と思いの人もいるかと思いますが、ふわふわでとてもおいしかったです。
ほとんどの人がおかわりをして一瞬でケーキが消えてしまいました。
このケーキパーティーの与太話としては
杉原さんがカット用にお持ちになった電動ナイフ?が好評でした。
(参考アドレス)
http://www.amazon.co.jp/%E9%9B%BB%E5%8B%95%E3%83%8A%E3%82%A4%E3%83%95-Decker-9-Inch-Electric-Carving/dp/B004P14Y5M/ref=sr_1_3?ie=UTF8&qid=1333023900&sr=8-3
パンなど柔らかいものを切るのに非常に便利だということで、
多田先生が非常に興味を持っておられました(主に堆積物コアを切る目的で)
明後日で3月が終わり、いよいよ新年度になります。
新しいメンバーも迎えることですし、
また面白いことがあればその都度更新ができればと考えております。
それでは!
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