2017年8月20日日曜日

週刊葛生 第七十四号 葛生の蛭編

 みなさんこんばんは。博士2年のMです。


 夏本番だというのに、雨ばかりですね。

 「蛭」って知ってます?「ひる」と読みますが。

 森の中にいて、動物の血を吸う硬くて短いミミズみたいな生き物です。

 安心してください。写真は出てきませんから。


 上の雑な説明だと、超最悪な生き物みたいに聞こえますが、まあだいたいそんなところですね。日本の蛭はだいたい山蛭なので、森の地面にいて、動物に乗っかると吸い付いて血をすって生きています。普段は鹿なんかを糧にしているようです。

 血を吸うと言っても、蚊やアブみたいに傷口が腫れる事はほとんどないですし、あまり痛くも痒くもないです。ただ、ヒルジンとかいう物質を注入してくるので、血が止まらなくなります。逆に、蛭にとっては飲みホーな訳です。

 とはいえ傷口はそこまで大きくないので身に危険が及ぶ出血は起きないですし、数日も経てば塞がってかさぶたが痒いだけになります。

 要するに血を吸うムシとしては害は少なめなんですが、いかんせんそのビジュアルのきもさから蚊より遥かに嫌がられているように思います。蚊が嫌いで夏の調査をしたがらない人は聞いた事無いですが、蛭が嫌だから調査は冬が良いという人はそれなりにいますね。

 結局、見た目が100%なんですかね。



 おやおや、前置きがずいぶんと長くなってしまいました。実は、葛生は結構蛭がいる事で有名なんです。

 じゃあ何で今まで話題にしなかったかって?葛生のイメージダウンに繋がるからでしょう。実は、私が調査をずっとしていた仙波川の辺りには蛭がいないんです。実際、大釜の露頭では蛭に噛まれた事が無いです。

 だから、宿の人に「秋山(旧葛生町の中でも最も奥の群馬よりの地区)の方は蛭が多いんですよ」なんて言われても、葛生の蛭なんて伝説だと思ってたんです。

 ところがですよ、この間の6月に、その秋山に行った訳ですよ。

 そしたらいまくるじゃあないですか。

秋山川上流、森沢沿いの廃道。

 こちら、森沢という沢沿いの林道なんですがね。普通こんな乾燥した落ち葉もないところに蛭は多くはないんです。しかし、脇の露頭を見ようと草むらに10秒くらい立っていたら、両足の靴にいらっしゃる訳です。

 慌てて虫除けをかけましたね。

 あ、そう、蛭ってのは、なぜか虫除けに含まれるディートで死ぬんです。軽くかけたくらいでは死ななくても、間違いなく丸まって転がり落ちて行きます。ですからみなさん、蛭がいるところには虫除けをもって行動しましょうね。

深堀沢の支流。放置林になっていますね。
 次にこちら、深堀沢という沢の支流に入ったのですが、ここはもう大変でした。立ち止まるともう四方八方から足に向かってシャクトリムシのように蛭たちが向かってくるのが見えました。その度にディートを乱射していたので、わずか2時間くらいで100 mL以上の虫除けを使いました。おかげで無傷でしたが。

 しかし、不思議なのは、そのとなりの栃岡沢という沢には、蛭がいなかったって事です。1 kmも離れてないんですけどね。

栃岡沢。こちらも放置林です。

 写真もこんな感じ。見た目は深堀沢の支流とあんまり変わらんですがね。


 ちなみに大釜の露頭の周りはこんな感じ。

大釜の露頭の脇です。
 いそうですけどね。いないんですね。これが。



 不思議。


 最後に、秋山=蛭というイメージがつくといけないので、秋山のいい景色をご紹介します。

 集落はこんな感じ。たいへん長閑です。

かなり民家は少ないです。

 結構険しい山もあるんですね。チャートでしょうか。

道路から沢を取り囲む山を望む。

 さすがに葛生だけあって、石灰鉱山はちゃんとあります。
葛生市街付近とはまた別の企業です。良い露頭が出てますね。

こちらは、廃鉱になっていますね。

 小麦畑が多く、6月には小麦が実って、いい景色になってました。

麦秋です!

 良いところでしょう?


 次回は、蛭除け講座でもしましょうか?

 それでは、ごきげんよう。さようなら。

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