2011年11月6日日曜日

雲南省長江上流域調査の旅 (その10)

昆明で一泊したので、ドライバー2人はリフレッシュした筈だ。2人は昆明の自宅に戻れたからだ。翌朝、いつもより少し遅めに出発し、一路紅河へと向った。高速が紅河を横切る橋の手前で車を降り、橋の縁の路側帯に沿って橋を渡りながら紅河の写真を撮った。日本では、高速の途中で車を止め、まして人が高速道路に出てその縁を歩く事は、とても認められない法令違反であるが、中国では黙認されるようだ。橋は高さが150m以上あり、橋脚を持つ河としては世界最大(級)の高さを持つのだそうである。おかげで紅河を上から臨む絶景の写真を撮る事が出来た。
Zheng教授は、かなりの写真好きで、良い写真を撮る為なら労を惜しまない。Connie, Nikki, Yoshiakiは私達について車外に出て、写真を撮りつつ橋を徒歩で渡ったが、Keitaは車から出て来ない。多分、もし間違って車にひかれたら、と心配なのだろう。私もどちらかと言えば心配性だが、Keitaは私に輪を掛けた心配性の様だ。まあ、慎重な人間がグループに一人居るのは悪くはない。必要な時にきちんと発言してくれれば、であるが。私達は、橋の東から西までを歩き切り、更に、西側の橋の袂から金網を潜って外に出て、橋と河の写真を撮った。紅河は、その名の通り鮮やかに紅く濁っていた。河道は直線的で、河原が少ない。川幅もせいぜい3040mで、日本の河川と大差ない。とてもアジアの大河と言えるようなものではなかった。
兎に角、私達は高速を降り、河沿いの道を探した。最近の急速な開発により、道筋は衛星写真で見るものとは全く変わってしまっている。道沿いの高い所(河面から4050m以上上)に対面2車線の新しい舗装道路が走っているのだが、河に降りる道が仲々見つからない。また、見つかっても悪路で、途中で通れなくなるものもある。そこで、衛星写真(Google Map)を使って河原とそこにいけそうな旧道の目星をつけ、GPSで押さえた現在位置との位置関係で、新しく出来て、まだ衛星写真に載っていない道から旧道への入口を探すのである。私達は、やっとの事で高速の橋を見上げる河原に辿り着き、堆積物の採取と礫の観察記載を行った。もう一台の車は、悪路の為に私達の車について来れず、数百m下流で採水をしているとのことだった。
この日は、採水と河川堆積物の試料採取は、1地点だけで終え、その後は下流に向って、河沿いの舗装道路を下った。途中に、河川堆積物の露頭が出てくる。Zheng教授は、いくつかの露頭を見るうちに、河川堆積物の規模が現在の紅河には不釣り合いなほど大きいと言い出した。彼の野性の感が、大きな獲物を見つけた可能性を伝えているようだ。私たちは、道沿いの露頭を片っ端から調べ、礫の種類や円磨度、堆積構造などを調べ始めた。(つづく)(多田)

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