今回の調査の旅もいよいよ終わりに近づいてきた。ベトナムとの国境の町「河口」の手前で採水と堆積物試料を採取すれば予定は終了だ。私達は、紅河沿いの町、南沙で一泊したあと、川沿いの舗装道路を、一路「河口」へと向かった。その途中、河の流れが徐々に淀み、河の色が紅から黄褐色を経て深い緑色に変わり、やがて完成間近のダムに出会った事については、既に私個人のブログに書いた通りである。複数の国にまたがって流れる河川にダムを建設する事の問題はここでは述べないが、我々が、高速を降りて紅河沿いに下ってきた舗装道路とその切り割露頭は、どうもダム建設のために、ごく最近、作られたものの様だった。河床からかなり高い位置に道路が作られ、切り割露頭が出来たことによって初めて、大規模な河川堆積物の存在が明らかになったのではないか、と思われる。Zheng教授は、なるべく速やかにこの河川堆積物の調査をすべきと考えているようである。河口の町に着いてそこで1夜を過ごし、昆明へと戻る道々、Zheng教授は、興奮冷めやらぬ様子で、今回の発見の重要性と一刻も早い調査の必要性を熱弁した。
その後のメールでのやり取りの結果、当初12月に予定していた、揚子江下流域の採水、河川堆積物採取の調査を延期して、急遽紅河沿いの河川堆積物の調査を行う事になった。12月3日から、私とYoshiakiが参加する予定である。(終り)(多田)